scoutyは現場の人事からも評価が高い。約6000人の転職希望者の相談に乗ってきたネオキャリア(東京都新宿区)の人材紹介のプロ、井手裕典さんは「今後、転職サイトで検索したら分かる求人を提案するだけの転職エージェントは要らなくなる」とみる。
一方、「AIにもできないことがある。それは転職者も気付いていないその人の価値観を聞き出し、最適なキャリアパスを構築すること」とも指摘。井手さんは最近、大手マスコミにいた30代男性の転職相談に乗った。本人の希望は「将来起業するために力を付けられるフィールド」。具体的な志望業界は無かった。
「普通ならスタートアップの企業を勧める。でも前歴を考えると違うと感じた」(井手さん)。本当は何をしたいのか男性にじっくり聞いた上で、2人がたどり着いた結論は「実際に起業に成功した“猛者”にもまれてベンチャーを学べる職場」だった。
結果、成長著しいヘルスケア系の大手ベンチャーに入ることに。新規事業が社内で数多く立ち上がっているため、起業に役立つ裁量の幅の広い仕事ができると踏んだ。井手さんは「転職者と向き合ってその人のキャリアパスを“創造”する仕事は、AIには置き換わらない」と断言する。
人材のマッチングでテクノロジーに磨きがかかるほど、重要さが浮き彫りになる人事の“アナログ力”。実はNextremerも採用活動時、scoutyの運営側からヘッドハンティングで「必ず守るべきコツ」を伝授されていた。それは「スカウトメールの文面をコピー&ペーストしないこと」。scoutyの担当者は送る前のメールを何度も書き直させた。「スカウトのメールで伝えたい“思い”は、AIが勝手に作ってくれない。AIを開発している私たちも痛感した」と両角さんは振り返る。
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