鳥でも「肉食系男子」が人気? “モテるオス”の特徴が研究で判明“見た目”が大事

» 2018年06月27日 19時14分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 生物が次世代に優秀な子孫を残すためには、優秀な配偶者と交尾することが不可欠だ。そのため多くの生物のオスは、メスを巡って争ったり、派手な飾りや鳴き声でメスを誘ったりする。だが、メスが好みのオスを選ぶ基準・仕組みは明らかになっていなかった。

 静岡大学、北海道大学などの研究グループが、鳥のウズラを対象に、メスのオスに対する好みを調査したところ、メスは血中のテストステロン(男性ホルモン)濃度の高いオスを好むことが分かったという。

photo メスにモテないウズラ(=左)とモテるウズラ(=右)

 研究グループによると、テストステロン濃度が高いウズラのオスは、繁殖期になると頬羽の赤色・黄色の発色がやや強くなる。人間では見分けがつかないレベルの変化だが、メスは繁殖期になると目の感度が向上して色の違いを見抜き、より濃度が高いオスを好むようになるとしている。

メスが近寄るオスの共通点を調査

 実験では、長方形の実験装置の両端にオス、中心にメスを配置し、メスがどちらを選ぶかを調べた。メスが近寄ったオスの共通点を調べたところ、いずれも血中のテストステロン濃度が高かった。一方、精巣を除去したオスや、繁殖状態でないオスは選ばれなかった。

photo モテるウズラを見分ける実験装置

 オスの特性を観察した結果、テストステロン濃度に比例して頬羽の赤さと黄色さが増すことも分かった。だが濃度が高い場合でも、頬羽を除去するとメスは近寄らなくなった。

 また、実験装置を長い光の波長をカットする特殊なフィルムで覆うと、メスは魅力的なオスを判別できなくなった。そのため、メスは視覚で“好みのオス”を選んでいることも分かった。

 さらに、繁殖状態にあるメスとそうでないメスの網膜を調べたところ、後者は赤色を識別する視物質「赤オプシン」の発現が顕著に低下していた。そのため、メスは繁殖期のみ目の感度が上がり、オスの頬羽の色を見分けていることが分かった。

photo 繁殖期のメス(=左)とそうでないメス(=右)の視物質の状況

コンディションの良いオスはモテる

 こうして研究グループは「繁殖期になるとオスは男性ホルモン濃度が上昇し、その上昇に呼応して頬羽の色が変化する。メスも目の感度を上げて、その変化に鋭敏に反応することで繁殖の成功率を上げている」ことを突き止めた。

 「男性ホルモンは環境の悪化やストレス、栄養状態の悪化に敏感に反応して低下するため、濃度の高いオスはコンディションが良いといえる。メスはコンディションの良いオスと交尾し、子孫に優良な遺伝子を残そうとしているのだと解釈される」と結論付けている。

 成果は米科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

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