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» 2018年06月28日 09時00分 公開

「外国人労働者受け入れ」は人手不足解消の解じゃない:「シンギュラリティには一生行きつかない」 安川電機・津田会長に聞く「ロボット産業の未来」 (4/5)

[中西享,ITmedia]

「3K職場」撲滅 中小企業にも「生産性革命」を

――ロボットを普及させるためには何が求められるか。

 ロボットを使うには、生産技術の分かった人がどうしても必要になる。だが、日本には生産プロセスを分かってはいても、その生産技術のノウハウが横に広がっていかないという課題がある。自動車や電機メーカーでは、社内に優れたノウハウを持つ人材もいるにはいる一方、食品会社などにはそういう面が弱い。

 このため日本ロボット工業会と経済産業省が一緒になって、ロボットを生産技術に生かすスキルを備えた「システムインテグレーター」を育てようとしているところだ。だが、日本ではこのシステムインテグレーターが、まだ会社の中でお金を稼げる立場になっていない。欧米はシステムインテグレーターの養成に投資する一方、日本は増やしてはいるものの、まだまだ不十分だ。エンジニアリングの心得のあるシステムインテグレーターが増えてくれば、より多くの分野でロボットが簡単に動かせるようになる。

phot 安全柵がなくても組み立てや仕分け、箱詰めができる人協働ロボット。人が「使いやすい」ロボットが求められている(MOTOMAN-HC10 安川電機提供)

「外国人受け入れ」の前に必要なこと

――これからのロボットの役割は何か。

 ロボットを使って「きつい」「汚い」「危険」、いわゆる「3K職場」をなくしたい。ロボットを300万台稼働させたとしても、「3K職場」の1%も解消できないというのが現実なのだ。全く惨憺(さんたん)たるものというしかない。「生産性革命」に寄与するためには、大企業だけでなく中小企業でも扱えるような「使いやすいロボット」を提案すべきで、それがメーカー側の役割だ。課題は山積している。

phot 組み立てや搬送を行う双腕ロボットMOTOMAN-SDA10D(安川電機提供)

 いまのロボットの普及スピードでは、「3K職場」の現場は変わらない。もっと加速する必要があるだろう。いまは中国でさえ、若者が「3K職場」では働かないと言っている。それなのにいまの日本は海外から労働力を持ってきてその不足分を補い、さらに今後もその動きを強めようとしているようだ。過渡期だから仕方がない面はあるものの、それは一時の間に合わせにすぎない。現状、ミャンマーやネパールなどの国から何とか労働者が来てくれているのかもしれないが、彼らもいずれ「3K職場」を嫌うようになるだろう。そうすると、また「人手不足」の状況を繰り返すことになる。いろいろな場面で「ロボット化」がもっと必要だ。

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