新しい発注システムに切り替えるのは6月6日と7日だが、現場の混乱は極力避けなければいけない。「切り替えた際、システムが全て止まってしまった」「物流センターで遅れが生じた」といったトラブルを全て想定して、備える必要があった。例えば、大規模障害が発生した際は大幅な遅延を回避するために、既定の時刻を過ぎたならば、すべての荷物がトラックに積まれていなくても、各店舗に向けて出発してもよいとした。発注された商品の一部が店舗に納品できないことで発生する機会損失の補填はローソンが行うと宣言した。
秦野氏はトラブルが発生した際の連絡網を整備するだけでなく、特に取り扱い量の多い物流センターに21人の本社社員を派遣した。どこかの工程で遅延が生じると、その影響は他にも及んでしまう。遅れが生じたときに人力でリカバリーできるようにするためだ。
切り替え当日、周到な準備をしたおかげで、大きなトラブルはなかった。欠品率(店舗が発注した商品が、店舗に納品されなかった割合)は0.0001%となり、ほとんど混乱もなかった。
新しい体制に移行してから日は浅いが、午後4時以降の店舗に在庫が増えることで、売り上げが伸びるといった成果も出始めているという。
「10年、20年たってもひずみがでないような設計を心掛けました」と秦野氏は語る。物流の現場というのは一般消費者にとってはあまりなじみのないものだが、ローソンを支える重要な“兵たん”改革はこのようにして進められたのだった。
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