改革を進めるうえで重要になるのは、約280社にも及ぶ米飯ベンダー、メーカー、物流センターなどとの交渉だった。
簡単にいうと、午後2時締めの発注内容に基づき約23時間後に納品すればよかったものが、午後10時締めの発注を受けて15時間後に納品することになる。すると、今までの製造・配送体制を再構築する必要に迫られる。
具体例で説明しよう。例えば、ある食品メーカーはローソンだけでなくほかの量販店やコンビニチェーンにも商品を配送している。これまでは、ローソン向けの商品をトラックに積み込んでから、A社、B社…と順番に作業を進めていた。しかし、変革後は、ローソン向けに発送する時間が、A社やB社向けに発送する時間と重なってしまうため、作業人員やトラックの再配置が必要となる。場合によっては、一時的に扱う商品数が増えるため、作業スペースが不足することもありうる。
さらに、弁当をつくる米飯ベンダーが大きな影響を受けることになった。これまで、午後2時締めの発注に基づいて製造していたが、午後10時締めの発注に基づいて製造する体制になる。しかし、店舗への納品時間は変わらない。製造のタイムテーブルを抜本的に見直さなくてはいけなくなった。
このように、発注システムを変更することで、メーカーや米飯ベンダーなどにさまざまな影響が出る。しかも、その内容は各社異なる。交渉作業を約280社と行うことが、どれだけ大変なことか、想像できるだろう。
秦野氏はこのプロジェクトで、情報集約や議論を調整・リードする役割を担った。
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