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» 2018年07月18日 06時30分 公開

女性キャリアを停滞させる原因にメス ブラザー工業が講じた施策とは?諦めずに働き続けるには?(3/3 ページ)

[伏見学,ITmedia]
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残業、長時間労働にもメス

 並行して、長時間労働の解消についても取り組んだ。午前10時30分〜午後3時だったコアタイムを1時間前倒ししたほか、午後8時以降の就業の届け出承認、午後10時以降の就業の原則禁止とした。

 15年11月1日〜16年2月28日までトライアル期間を設け、出勤が遅く、残業の多い設計部門など6部門を対象に実施。上司の残業マネジメント向上や、メンバーの業務効率化を検証し、16年7月から全社的な本格導入に踏み切った。

ブラザー工業 人事部 労務グループの青木勝彦グループ・マネジャー。取材当日はカジュアルフライデーだった ブラザー工業 人事部 労務グループの青木勝彦グループ・マネジャー。取材当日はカジュアルフライデーだった

 どのような効果が得られたのだろうか。強制力を持たせたことで、管理職もメンバーも割り切って早くようになったほか、時間を意識して仕事の優先順位をつけて効率的に取り組むようになったそうだ。結果、深夜残業は90%以上削減、長時間労働者の平均残業時間は2〜3割減少したという。

 また、同社では従来から所定外で1カ月あたり100時間超え、2カ月平均で76時間超えの社員を対象に、過重労働防止の産業医面談を行っていたが、この面談件数も劇的に減った。以前は毎月数十件あったのが、現在では数件程度にまで抑えられている。

 こうしたワークライフバランスに対する社員の意識の向上は、年休取得率にも反映されている。15年度から最低5日間の年休取得を推進し、取らない場合には報告書の提出を義務付けるなどしたこともあり、15年度に76%だった取得率が、16年度は79.5%、17年度は82.4%にまで上昇した。

 このように人事制度による一定の成果は表れているが、まだ課題もある。それは働き方改革の重要テーマである「生産性」についてだ。リモートワークの導入や残業の抑制などによって働きやすい職場ができつつあるのは確かだが、事業収益にどうつながっているのだろうか。青木氏は「生産性向上や業務効率性の指標をどう定めるかは難しい問題です」と打ち明ける。例えば、労働時間を短縮したことで成果もそこそこになった社員と、長時間労働でもものすごく大きな成果を出す社員がいた場合、その評価をどうするべきか――。これはブラザー工業に限らず、多くの企業でもまさに今課題として挙がっていることだろう。

 生産性向上のための施策として、同社では18年度からRPA(Robotic Process Automation)の検討を始める。例えば、経理部門における月次の売り上げデータの収集、分析といった定型業務を対象にRPAを活用して、自動化による作業効率アップを図る。それと同時に、社内全体の業務のたな卸しを行うことで、無駄な業務を可視化したいという。会議の数なども減らしていきたいとする。

 単に働きやすい職場から、育児女性社員や介護社員のキャリアを支援し、さらに生産性も高めていく会社に。ブラザー工業の働き方改革を今後も注視したい。

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