お店のミライ

故障率が0.5%から0.03%に ニトリ、品質向上への執念商品企画から製造までを検証(1/4 ページ)

» 2018年07月19日 06時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

 家具チェーン国内最大手のニトリは、かつては倒産品を買い付けて安売りで勝負するような家具店だった。海外から商品を輸入するようになっても、顧客から「座ったとたん、椅子がバラバラになって頭をぶつけた」というクレームが多く寄せられるほど品質面で悩んでいたという(出所:「運は創るもの」日本経済新聞出版社)。

 それが今や“安くて品質にも納得”という消費者の評判を勝ち得るまでになった。業績も好調で、31期連続の増収増益を実現しており、ニトリホールディングスの18年2月期における売上高経常利益率(連結ベース)は16.6%と高水準を維持している。

 かつて、家具は高いのが当たり前で、結婚や就職に伴う引っ越しや、新築祝いといった人生の大きなイベントを機にまとめて購入することが多かった。しかし、都市部の人口増加などにより、高額な家具を思い切って買うのではなく、ライフスタイルの変化にあわせて手軽な価格の家具を気軽に買い替える、といった消費者が増えてきた。

 ニトリが現在の地位を築くに至るまでにどのような道のりを歩んできたのかを検証していく。

photo 業績絶好調のニトリ(出所:ニトリ公式Webサイト)

商品の約90%を自社で企画

 ニトリのビジネスモデルの特徴は製造から小売りまでを一貫して行う製造小売(SPA)だ。これまでの一般的な家具店は、販売店が問屋を通して仕入れた家具を販売する形式だったが、ニトリは自ら商品の企画、製造、販売までを自社グループと提携工場で行っている。

 あくまで一般論だが、ナショナルブランドの商品はどの販売店でも購入できるため、販売店にとっては品ぞろえの面で差別化が難しくなるだけでなく、価格競争に陥るので利益率も低くなりがちだ。ニトリは商品の約90%が自社で企画したプライベートブランド(PB)となっており、これが高利益率と競争優位の源泉になっている。現在、大手小売りチェーンは競ってPBの開発にまい進しているが、ニトリほどPBを取り扱う比率が高い企業はそう多くはない。

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