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ウナギ業界の「異常」にイオン、岡山のベンチャーが立ち向かう理由密漁と“密輸ロンダリング”が支える「土用の丑の日」(3/5 ページ)

» 2018年07月20日 08時30分 公開
[真田康弘ITmedia]

「持続可能なウナギ」のために動き出した「民」

 遅々として進まない「官」の取り組みを尻目に、「民」による持続可能なウナギ養殖への取り組みが始まっている。

 その1つが、日本最大のリテーラーであるイオンによる取り組みだ。同社は18年6月、持続可能な裏付けのあるウナギの調達を進めるための「インドネシアウナギ保全プロジェクト」に取り組むと発表した。23年までに、生産場所や経路を完全に把握できるウナギの販売を目指す。

phot 「インドネシアウナギ保全プロジェクト」について説明するイオンの三宅香執行役

 イオンはウナギに代替する商材として、持続可能な水産物に付与される「海のエコラベル」であるMSC(Marine Stewardship Council)認証を受けた「パンガシウス(ナマズ目に属する淡水魚)」のかば焼を販売するなど、この分野では先導的な役割を担っている。インドネシアでの取り組みは、ビカーラ種という同地に生息するウナギを対象に、シラスウナギ採捕のMSC認証を目指す。

phot イオン葛西店の売り場では今年も「土用の丑の日」に向けウナギが販売されている

 ただし、グローバルな認証制度であるMSCは認証に際して高い基準が要求され、その取得は容易ではない。このため同プロジェクトでは、環境NGOの世界自然保護基金(WWF)ジャパンからの支援を受け、ウナギとしては世界初となる「FIP (Fishery Improvement Project:漁業改善プロジェクト)」に着手する予定だ。このFIPでは、MSC認証のための予備審査で特定された課題を解決するために「漁業改善計画」を策定し、この計画に基いて活動する。最終的にはMSC認証の取得を目指す予定だ。

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