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» 2018年07月20日 08時30分 公開

ウナギ業界の「異常」にイオン、岡山のベンチャーが立ち向かう理由密漁と“密輸ロンダリング”が支える「土用の丑の日」(4/5 ページ)

[真田康弘,ITmedia]

岡山のベンチャーが挑む「持続可能な養殖」

 注目すべき動きが岡山でも始まっている。岡山県西粟倉村のベンチャー企業、エーゼロは持続可能な養殖に向けて挑戦を続けている。同社は18年5月、持続可能な養殖業に対して付与される国際的なエコラベル「ASC(Aquaculture Stewardship Council)」の考え方をベースに、認証機関のアミタが試作した、ニホンウナギの独自基準による審査を受けた。ASCではウナギの認証基準が未策定であることから、アミタの独自基準はASCの他の基準を参考にしたものである。

 「ちょうど審査報告書のドラフトが上がってきたところだ。やはり問題なのは天然種苗の持続可能性の点だが、それ以外の項目については問題点は多くない。水産養殖だと餌が問題になるが、ウナギの場合は餌の種類や魚粉の原料も限られているので、比較的対策しやすい」とエーゼロ執行役員で自然資本部の岡野豊部長は語る。

phot エーゼロ自然資本事業部。左から4人目の籠を持っているのが岡野豊部長(提供:エーゼロ)
phot エーゼロがオフィスにしている旧影石小学校(提供:エーゼロ)

 天然種苗の持続可能性の問題もあり、ASCの取得は現状では非常に難しいとも考えられるが、「今回の審査でどこにギャップがあるのかが分かるので、ギャップを詰めるための対策を練りたい」と、その意義を岡野氏は力説する。

phot エーゼロの養鰻場の様子(写真提供:エーゼロ)

 エーゼロでは持続可能なウナギ養殖へのさらなる挑戦として、110万円で購入したシラスウナギ2200匹のうち半分を放流し、放流後の生存率などを国際自然保護連合(IUCN)種の保存委員会メンバー(ウナギ専門家グループ)でもある中央大学法学部・海部健三准教授が率いるグループとともにモニタリングをする。

phot 放流に用いた稚魚(提供:エーゼロ)
phot 放流試験時の様子(提供:エーゼロ)

 放流直前に追跡調査用の試薬で稚魚をマーキングをしている際、放流用の稚魚が全て死んでしまうという不運に見舞われたが、7人のスタッフは全員一致で、残った1100匹の半分を6月下旬に放流するとの決断を下した。事業としては現時点では非常に厳しい状況ではあるが、「思いを込めて取り組んでいるベンチャー企業として、小規模でも資源管理をしながら利益が出るモデルをつくりたい」と岡野氏は今後を展望している。

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