こういう「コンビニ前のたばこ問題」の現状を踏まえると、セブンが計画していた「100円生ビール」というものが、驚くほど見通しの甘い考えであることに気付く。まず、真っ先に浮かぶリスクとしては、「コンビニ前喫煙の増加」が挙げられる。
ご存じのように先月、東京都の受動喫煙防止条例が可決された。ここでは従業員のいる店は原則禁煙で、都内の飲食店の8割以上が吸えなくなる。
その一方で、日本の場合、屋内禁煙が導入されている欧米、中国、ロシアなど異なり、「歩きタバコ」など路上での喫煙も既に厳しく規制されているため、屋内でも屋外でも吸う場所がないということで、街をさまよう「喫煙難民」が大量に生まれる見込みだ。
そんななかで、セブンで生ビールが100円で飲めるようになれば、飲食店で肩身の狭い思いをしている「ちょい飲み」をしたい方がわっと押しかけるのは間違いないが、そのなかには飲食店で肩身が狭くなりつつある愛煙家もかなりいるはずだ。そこで問題は彼らにどこで、たばこを吸ってもらうのかということである。
コンビニ店内は禁煙なので、どこかに完全に煙と匂いがシャットダウンする喫煙室を設けなくてはいけないが、そんな余計な設備投資はできないというコンビニオーナーは多いはずだ。
そこで最も現実的なのは、店外につくるという方法だが、これも問題が山積だ。地方のコンビニのように敷地が広ければ、買い物をしようとコンビニを訪れた人たちに煙の匂いが届かない遠方に専用喫煙エリアをつくれるが、都市部の店舗は、店の前に灰皿を置くくらいしかできない。
が、これはセブンが打ち出している灰皿撤去と大きく矛盾しているのでおおっぴらには推進できない。要は、現時点のように「グレー」にするしかないなのだ。
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