ビールの消費は、12月の忘年会シーズンに次いで7〜8月の夏の時期に増える(総務省「家計調査」における二人以上世帯の支出額)。夏真っ盛りの今、街中を見渡すと、ビアガーデンが活況だ。
一方で日本のアルコール市場は1996年をピークに縮小傾向にある(図1)。また、消費されるアルコールの種類も変容している。90年代半ばまではビールが約7割を占め、ビールと2位の清酒を合わせると全体の8割を超えていた。しかし、90年代後半からビールや日本酒が減少する一方、発泡酒やリキュール、その他の醸造酒等が増えるようになり、消費されるアルコールは多様化している。
なお、その他の醸造酒等は、2006年の酒税法改正の際に出来た区分で、いわゆる第三のビールの一部が含まれる。
ビール消費量の大幅な減少には税率の高さの影響が指摘できる。ビールとは麦芽比率50%以上の醸造酒のことで(2018年の酒税法改正前は67%)、麦芽比率に応じて税率が定められている。1990年代半ばごろから、消費者が安いビールを求める中で、メーカーは麦芽比率の低いビールテイストの発泡酒の開発を進めてきた。しかし、2003年に発泡酒に対する税率が引き上げられると、さらに麦芽比率を下げた商品として、第三のビールの開発へと移っていった。
ビールの消費量が減少した背景には、税率の高さだけでなく消費者の好みが多様化した影響もあるだろう。図1を見ると、近年、チューハイやカクテルに使われるリキュールの消費量が伸びている。
ひと昔前は、会社やサークルなどの集まりでは、「とりあえずビール」ということが多かっただろうが、最近では若者を中心に1杯目からそれぞれ好きなものを注文するということも少なくないようだ。
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