熱中症の被害者が出ても、夏の甲子園が絶対になくならない事情スピン経済の歩き方(7/7 ページ)

» 2018年08月07日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]
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高校球児受難の時代

 7月、和歌山県の高校のラグビー部顧問の男性教諭が合宿中に酒をくらって、部員たちを殴ったという事件があった。

 グラウンド整備が遅いのを注意したところ、「部員の人数が少ないので限界です」と反論され、プチンとキレたらしい。男性教諭からすれば、「オレが部活をやっていたときはそんな弱音を吐かなかったぞ」という憤りがあったのではないか。

 同じ悲劇が、高校野球の世界でもみられるのは時間の問題だ。

 ただでさえ、「シゴキ=必要悪」の思想のもとでスポーツと異なる部分で虐げられ、熱中症の危険に隣り合わせなところに加えて、人口減少を受け入れられない「運動部シゴキ自慢おじさん」たちに「頭数が足りなければ、気合で乗り切れ」とボコられる。

 そんな「高校球児受難の時代」がもうそのあたりまできているのかもしれない。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで200件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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