任天堂・宮本茂氏が語った「スマホ対応への苦悩」「マリオラン」なぜ1200円?(4/4 ページ)

» 2018年08月22日 19時39分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]
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批判が原動力

 家庭用ゲームで大成功した実績を持ちながら、スマホゲーム開発では苦悩も味わった宮本氏。講演の終盤には、「『ゲームが面白くない』と酷評される経験も数多くしてきた。だが、そのたびに『見返してやろう』とポジティブなエネルギーに変えてきた」と情熱の源泉が批判であったと明かす場面もあった。

 「仕事場では、会議など堅苦しい業務も多く、なかなかポジティブになれない。だからこそ、常に笑って、雰囲気をほぐして、前向きに仕事をしていきたい」

photo 宮本氏がゲームデザイナーの苦悩をまとめたメモ

 「ゲームのアイデアはなぜ浮かぶのですか?」と若手などから質問される機会も増えているというが、宮本氏は「企画は常に考えているが、(技術的な問題などで)実現できないことが多々ある。没にしたアイデアは忘れてしまうのではなく、なぜダメなのかをラベルに書いて貼り、頭の中にしまっている。これが大事だ」と説く。

 「たくさんの引き出しを持っていると、お風呂に入っている時や運転中、ダジャレを言った時など、ひょんなタイミングで(商品化につながる)ひらめきが浮かぶ」という。

 「Nintendo Switchと段ボールを組み合わせる」というアイデアから生まれたキット「Nintendo Labo」は、世界各国でも人気は上々とのこと。

 宮本氏は10年前と同じく「世界に打って出ると、ビジネスはぐっと楽になる」と世界展開の重要性を説き、「Nintendo Laboを世界中に広めたい」と意気込んだ。

photo 「Nintendo Labo」は好調だという

10年後に向かって頑張ろう

 漫画家を目指すヒロインが登場するNHKの連続テレビ小説「半分、青い。」を欠かさず見ているという宮本氏は、ヒロインが将来を思い悩んで眠れなくなるシーンと重ねつつ、「眠れなくなるほど自分を追い込み、ゲームのアイデアを生み出せる人材が1人でも多く世に出てほしい」と熱弁。

 「そうすれば、世界に一矢報いることができる。10年後に向かって頑張りましょう」と呼びかけ、講演を締めくくった。

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