(1)介護分野における外国人材の戦略的な活用事例
日本では海外の介護市場に進出している事業者はまだ少ないが、北欧では大手の介護事業者を中心に海外展開に積極的だ。
例えば、スウェーデンの介護大手Attendoは、フィンランドやノルウェー、デンマーク出身の外国人スタッフを多く抱え、これらのエリアで事業展開している。同社は2017年の売り上げの半分を海外事業から得ており(※10)、2025年までに欧州最大のヘルスケアプロバイダーとなるための計画を示すなど、今後の海外事業展開にも意欲的である。
また、移民に寛容な政策を採ってきたスウェーデンでは、高齢化した移民に対して、外国人介護労働者が母語(native language)で介護を行うサービスを展開している。認知症が進むと母語ではない第二言語(スウェーデン語)でのコミュニケーションが難しくなるケースがあり、民間事業者の中には、出身国が同じ外国人介護士による介護サービスをオプションで提供しているところもある。このように、外国人材を新たなビジネス展開や、多様性を生かした付加価値サービスの創造に結び付けることは可能である。
※10 Attendo[2018],“Annual Report 2017”
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