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銀行員“受難”の時代にどう生き残るか 「ジェネラリスト」はもういらない浪川攻氏に聞く(1/3 ページ)

» 2018年07月19日 06時00分 公開
[中澤彩奈ITmedia]

 2017年11月、メガバンク3行が大規模な構造改革に踏み切ると発表した。三井住友銀行は約4000人分の業務量、三菱UFJ銀行は約6000人、みずほ銀行は約1万9000人に上る人員削減計画を打ち出し、世間のみならず銀行員自身にも大きな衝撃を与えた。

 メガバンクといえば“安定している企業”として大学生の人気就職先でもあったが、安定を理由に銀行を選ぶ時代はもう終わったのかもしれない。

 記者はメガバンクで働いていた経験を持つが、銀行を取り巻く環境が急速に変化する様子を肌身で感じていた。特に構造改革の発表以降、銀行員の間でも銀行員の働き方や将来のキャリアパスについての話題が多くなっていたのは確かだった。

 大量人員削減という銀行の大転換期において、銀行員はどうあるべきなのか。書籍「銀行員はどう生きるか」を執筆した浪川攻氏に話を聞いた。

 浪川氏は金融業界に精通し、銀行員のキャリアパスにも詳しい金融ジャーナリストで、同著の中で銀行の組織体制や銀行員の在り方を考察している。

photo 銀行員“受難”の時代にどう生き残るか(写真提供:ゲッティイメージズ)

大量人員削減時代の始まり

――メガバンクが構造改革という名の下に大量人員削減に乗り出しましたが、どのように評価されていますか?

 銀行は構造的に組織運営に経費がかかりすぎる体質であることは確か。単純な業務をAI(人工知能)や新しい技術で代替し、生産性の向上や経費削減に本腰を入れようとする姿勢は前向きに評価している。選択肢としても既にそれしか残されていなかった気もするが。

――現職の銀行員は大量人員削減を含む今回の構造改革をどのように受け止めているのでしょうか?

 今回の大量人員削減については、これだけ大規模な計画にも関わらず支店長クラスにすら丁寧な説明がされなかったようで、急な発表に現場は驚かされたと聞いた。

 ただ、銀行側は大量人員削減について採用の抑制などによる“自然減”だけで対応すると強調し、現職の銀行員にはあまり影響はないから心配しないようにと伝えている。そのためか、危機感をあまり持たない銀行員もいるようだ。

――この発表がされた当時は私も銀行で働いていたのですが、たしかに自然減で調整するので心配しないようにと伝えられました。実際に、職場にそこまでの悲壮感は漂っていなかった印象です。もちろん、大きな話題にはなっていましたが……。

 自然減の説明を額面通りに受け取るべきではないだろう。構造改革の一環として店舗数削減も発表されているのだから、出世やセカンド・キャリアのポストを巡る競争の激化は避けられない。現職の銀行員も必ずしわ寄せを受けるだろう。

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