社内ITのクラウド化がさらに進展すれば、クラウド上で提供されている各種モジュールを動的に組み合わせ、必要なシステムを必要な時だけ構築する使い方も可能となるだろう。こうした視点に立てば「ひとり情シス」あるいは「ゼロ情シス」の動きが進むことについては、ポジティブに解釈できる。
しかしながら現実は少々異なるようである。
日本では、企業がITをうまく使いこなせていないとの指摘が以前からある。業務を最適化するためにITを導入しても、システムを既存業務に合わせて改修してしまい、結局、業務の最適化が実施できないケースはザラにある。
一部の日本企業トップは、ITに対する理解度が低く、場合によっては単なるコスト部門との認識にとどまっている。システムのスリム化やアウトソーシングメニューの拡大によって少人数での運用が可能となったものの、こうしたトップの下では、システム部門はコスト削減の対象でしかなく、その結果として「ひとり情シス」になった可能性は多分にあるだろう。
困ったことにITに対する理解が乏しい企業ほど、社員は情報システム部門を「便利屋」扱いする傾向が強い。「このエクセルの操作どうやるの?」といったレベルで情報システム部門を呼び出す社員もいるのだが、こうした企業で「ひとり情シス」を実施すれば、担当者の負荷が過大になることは目に見えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング