攻める総務

生産性向上の第一人者が厳選した“出社したくなるオフィス”5社あなたの職場でもきっとできる(3/5 ページ)

» 2018年09月14日 08時30分 公開
[沢渡あまねITmedia]

「モーニングサービス」に「ジム設置」 気晴らしのための「卓球台」

 味の素は、テレワークを促進する一方、社員食堂で無料のモーニングサービスを提供するなどオフィスに出社する社員の健康にも配慮している。「食」と「健康」による生産性向上を試みているところに、味の素らしさを感じる。

phot 味の素が社員に提供する無料のモーニングサービス(同社提供)

 タマノイ酢(大阪府堺市)はオフィスにジムを設置。社員が自発的に運動する習慣の定着と、リフレッシュによる生産性向上を目指す。

 オフィスにライブラリーとカフェコーナーを開設し、社員が気軽に本を読める環境を整える企業もある。作業場としてのオフィスを見直し、コミュニケーションの活性化や生産性向上のきっかけを作る「場」として捉える企業は増えてきている。

phot タマノイ酢のジムで汗を流す社員。同じ空間で汗を流すことでコミュニケーションのきっかけにもなっているという(同社提供)
phot ジムには冷蔵庫もあり「はちみつ黒酢ダイエット」が飲み放題だという(同社提供)
phot エアロバイクやランニングマシン、サンドバックなどが置かれている(同社提供)

オフィスにエンターテインメントがある景色

 Google日本法人のオフィスは、さまざまな景色にあふれている。各フロアに設置されたミニキッチン、執務室は従来の固定席のほか、ファミリーレストランの客席さながらのボックス席、個人作業ブース、和のしつらえの作業スペースもある。各自が、自分の生産性の上がるやり方で仕事をできる環境が整っているのだ。

 ふと、フリースペースに目を向けると卓球台が置かれていた。国籍の異なるエンジニア同士、気晴らしを兼ねて球を打ち合っている。エンターテインメントは、働く人たちのコミュニケーション活性化、モチベーション向上の格好の材料だ。

 筆者はIT企業勤務時代、中国のIT企業を足しげく訪問していた。中でも、北京で訪れたデータセンターが印象に残っている。サーバルームの扉が、無駄にカッコイイのである。まるで近未来宇宙基地を思わせるようなオシャレなガラスドア。開口部はあえてジグザクになっていて、開閉するたびに「シュワーン!」と、ヒーローが変身するような音が鳴る。社内システムがこれまたカッコイイ。ログイン画面のUI(ユーザーインターフェース)はもちろん、ログインすると「ウォーン」と迫るようなサウンドが響く。監視ルームはまるでコクピットのようだ。

 ロボット大戦アニメや特撮の指令室のような佇(たたず)まいで、テンションが上がる。「システムを守るために闘っている」感があるのだ。その中国のIT企業社長の一言が忘れられない。「皆、こういうのが好きなんですよ」。

 日頃なかなか日の目を見ず、ともすれば軽視され、モチベーションも下がりがちなのがデータセンターやITシステム運用の現場だ。しかし、だからこそスタッフの趣向に向き合って楽しめるようにするのである。その結果、会話が生まれるようになったなら、誇りを持って仕事に取り組めるようになったなら、「まんざらでもないな」と思えるようになったなら、それこそ「幸せ」と言えるのではないだろうか。

 アニメ好きな人が多い職場ならば、フィギュアを飾ったって良い。ゲーム好きなエンジニアが多い職種なら、休憩室にゲームを置くのもありだろう。

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