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築地移転の裏で進む“ネズミ駆除大作戦” 都は粘着シートを4万枚準備本番はこれから(2/3 ページ)

» 2018年09月14日 06時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

ネズミの種類によって異なる駆除方法

 担当者がネズミを駆除するために用意するのは「A4サイズ大の粘着シート4万枚」「ネズミとりかご600個」「殺鼠(さっそ)剤300キロ」で、ネズミの生息区域にあわせて重点的に配置する。さらに、捕獲状況も踏まえ、駆除する期間内には配置する場所や量を柔軟に変えていくという。

 具体的にどのように設置するのだろうか。例えば、クマネズミは地面を走り回らないので、粘着シートを使っても効果がほとんど見込めない。そこで、殺鼠剤を使って駆除する。ただ、殺鼠剤の入ったエサをいきなり置いても食べないので、まずは毒の入ってないエサに3週間程度慣れさせ、その後、毒入りのものに入れ替える予定だという。

ネズミを外に出さないようにする

 ネズミを駆除するだけでなく、築地市場の外に出るのを防ぐ対策も必要だ。築地市場の外周部は柵やネットフェンスなどで区切られているが、何も対策しないとネズミが外に逃げ出してしまう。そこで、ネズミが登ろうとしても滑り落ちてしまうような波板の設置を進めている。波板が設置できない場所には、防鼠(ぼうそ)ネットを設置する。

 ここまでして徹底的に閉じ込める理由は、近隣の飲食店や商店がネズミによって直接的な被害を受けるのを防止するだけでなく、「築地市場のネズミが大量流出した」「ネズミが店に出た。この店は不衛生だ」といった風評被害を防ぐためでもある。担当者は近隣住民や商店を集めた説明会に足しげく通い、ネズミ対策の概要について説明している。

 「粘着シートやとりかごだけで本当に大丈夫なのか? 抜本的な対策が必要でないのか? と質問を受けることがあります。専門家らのアドバイスを踏まえると、一番効率よく捕獲できるのは粘着シートなのですが、近隣の方々の不安も理解できますので、丁寧に説明するように心がけています」

photo 築地市場の場外には多くの飲食店が並ぶ

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