「どのような場合に懲戒解雇とすることが許されるのか?」と疑問に思う方も多いでしょうが、結論から言いますと、明確な基準はありません。もっとも、懲戒解雇が許されるかどうかのチェックポイントはいくつかあります。
それと併せて、懲戒解雇の事由は就業規則に明記されている必要があります。例えば、客観的に誰が見ても企業の秩序を乱すような行為(横領など)を行ったとしても、「刑事犯罪にあたる行為を行なった者は懲戒解雇」といった内容が記載されていなければ、懲戒解雇には出来ません。
大企業や社労士に就業規則の作成を依頼している企業は、そのようなことは考えにくいのですが、従業員10人以下の就業規則の作成義務が無い企業などは、そもそも就業規則が無いこともあります。
就業規則にも雇用契約にも懲戒解雇事由が明記されていない場合、どんなに悪質な行為をしたとしても、懲戒処分として解雇することはできません(この場合は普通解雇により処理することになります)。
懲戒解雇は労働者に対するペナルティーであるため、原則として処分を行う前に対象者に弁解の機会を与える必要があります。このような手続を履践しない場合は適正な手続を踏まないものとして、懲戒解雇は無効となる可能性があります。
懲戒解雇の合理的理由とは、対象者の行為が企業秩序を著しく乱す行為であったかどうか(具体的には、規定された懲戒解雇事由に該当するかどうか)の問題です。また、仮に合理的理由がある場合(懲戒解雇事由に該当する場合)でも、懲戒解雇という選択が社会的に見て相当かどうかも問題となります。
例えば、企業秩序を乱したといえるが、会社に実損が生じていないとか、解雇せずとも秩序の回復が可能であるという場合は、懲戒解雇の社会的相当性は否定されます。こちらについては、次に述べる「懲戒解雇になり得る6つの"重大な問題"」も参考にしてください。
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