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増税前に買ってはいけない! 「虚大都市・東京」のマンション事情増税と金利上昇で「値下がり」へ(4/5 ページ)

» 2018年09月19日 07時30分 公開
[中西享ITmedia]

年収1500万円以上の「パワーカップル」 根強いタワマンブーム

 数年前から首都圏では超高層(20階以上)のタワーマンションブームが起きている。その代表例が、東京都と神奈川県の境を流れる多摩川の西に位置する、川崎市中原区の武蔵小杉に急増したタワマン群だ。南武線、横須賀線が交わる武蔵小杉駅では、あまりにも多くのタワマンが短期間に完成したことから、朝の通勤ラッシュの時間帯には、通勤客で長蛇の列ができ、駅構内からあふれるという事態も起きている。東京都港区の勝どき周辺にもタワマン群が建っていて、あまりにも急にマンションが建ちすぎたおかげで、地域住民の子どもたちが通う小学校や中学校の供給が追い付かなくなる事態が起きているという。

 1部屋1億円近いタワマンを購入しているのは、夫婦それぞれの年収が1500万円以上ある「パワーカップル」と呼ばれる富裕層だ。現地を訪問すると、小さな子ども連れの若い世代が多いことに驚かされる。

 では、なぜ日本人はタワマンを買いたがるのか。それは特に高層階を購入することで、日本人特有の「人生の達成感」が得られるからのようだ。ステータスに見合う高級マンションを購入することで満足感が得られるのである。大手ゼネコンは、タワマンブームがまだまだ続くとみている。全国では既に1400棟のタワマンが建ち、首都圏では800棟以上も建設された。不動産経済研究所の調査によると、18年以降にさらに294棟、10万8757戸のタワマンの建設が計画されていて、衰えは見られない。むしろ北海道、宮城、広島などの地方でも建設が進められている状況だ。

見直される中古

 首都圏の新築マンションの供給量は13年から毎年減少していたが、17年度は3万5898戸と前年度より微増した。しかし、不動産物件情報の提供を行う不動産流通機構が運営する東日本レインズによると、17年度の中古物件の成約件数は3万7329件で過去最高を記録し、新築の成約件数を2年連続で上回った。つまり、新築は高くて手が届かず、代わりに中古マンションを購入している実態が垣間見られる。

 数年前は中古物件に対して抵抗感もあったが、最近は新築と比較してコスパ的に有利だとみる若者も多くなっているという。新築はモデルルームしか見られない一方、中古は実際に入居する部屋を見ることができるので、隣にどんな人が住んでいるのかも確認できることもあり、むしろ新築よりも安心感がある。つまり、新築よりもあえて中古を積極的に探す傾向も見られるのだ。

photo 中古市場の盛り上がりについて答える池本洋一SUUMO編集長

 長年、中古市場を見てきたリクルート住まいカンパニーの池本洋一SUUMO編集長は「東京23区内の新築マンションの価格は約7200万円するが、中古だと5200万円で買える。その差は2000万円もある。仮にリフォームに1000万円掛かったとしても割安感がある。これが、中古が受けている大きな理由ではないか」と分析している。

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