奇抜なお土産の中身であるお菓子作りを担当するのは和菓子店の童庵(愛知県豊橋市)だ。社長の安藤チヒロさんは、箱やデザインの案を見るだけで無性に楽しいと明かす。
「こんなのできました〜と、面白い画像がLINEで流れて来るんです!」
授業中にスマホで悪ふざけをしている中高生のようなノリである。超グソクムシ煎餅の発売から半年後に誕生したのが「超ウツボサブレ」だ。今度も「超」。何か意味はあるのだろうか。小林さんは恥ずかしそうな表情で打ち明ける。
「特に意味はありません。超をつけたら超売れるかな、ぐらいの気持ちでした」
ウツボを採用したことには一応の根拠がある。竹島水族館には複数のウツボが絡み合うように暮らしている「ウツボ軍団」の水槽があり、その気持ち悪さが人気を博しているのだ。また、竹島水族館のある蒲郡市からほど近い静岡県浜松市には、全国的に有名な「うなぎパイ」がある。ならば蒲郡は、もっと大きくて強いウツボの粉末を入れたサブレで勝負!という発想だ。
小林さんたちの「悪ノリ」は止まらない。超グソクムシ煎餅と同じく、本物のウツボの写真を使ってリアルなパッケージにするのはもちろん、大きさも原寸大にすることを決めた。全長70センチ以上もある。正直言って、持ち運びにくい。
「昔、豊橋市内でフランスパンが流行ったことがあったそうです。パリジャンみたいに、買い物袋からフランスパンを出して歩くのがオシャレだったんですね。今度は僕たちのウツボサブレを見せて歩くことを流行らせようと思ったんです」
狙いすぎである。値段は超グソクムシ煎餅(1000円)に比べて200円高いこともあり、超ウツボサブレが大ヒットすることはなかった。パッケージ開発を担当したのは箱秀紙器製作所(愛知県豊橋市)の三代目社長である富田委千弘(いちひろ)さん。前作の超グソクムシ煎餅との違いを次のように表現する。
「超グソクムシ煎餅が売れすぎて、箱を組み立てる作業が大変だという声を飼育員さんから聞いたので、ウツボサブレは工場で組み立ててお菓子を詰めてもらうことにしたんです。竹島水族館ではお土産コーナーに並べるだけ。でも、手間をかけない分だけ思い入れが薄くなり、ヒットしない原因になったのかもしれません」
ちなみに超グソクムシ煎餅のほうは、原料となるオオグソクムシの仕入れと内臓処理まで竹島水族館の飼育員たちが手作業で行っている。労力の差は歴然としている。
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