ウツボサブレでは自分たちがやりたいことだけをやり、作業面では楽をしてしまった――。この反省を生かして17年の冬から構想を練ったのがカピバラの落し物だった。
「原点に戻って、お客さんは何を望んでいるのかを必死で考えました。当時の竹島水族館は、カピバラの人気が高まっていたのですが、普通のお土産を作っても面白いとは思ってもらえません。ちょっとひねりを加えることが大事です。ちょうど『うんこ漢字ドリル』(文響社)が流行っていたので、僕たちもウンコにしようと思いました」
小林さんが第3弾のオリジナルお土産を「カピバラのウンコ」にしようと決めた直後に、箱秀によるパッケージのサンプルができた。小林さんによれば、社長の富田さんが自らCADシステム(コンピュータを活用して設計図の作成を行うシステム)とカッティングマシンに向き合い、夜な夜なサンプルを製作しているのだ。その富田さんに聞くと、小林さんがうなされたように『ウンコだ、ウンチだ』と繰り返すので、背中を押されるように製作に励んだという。
完成したパッケージは、超グソクムシ煎餅の10倍以上は組み立てが大変なものになってしまった。小林さんも覚悟を決め、副館長の戸舘さんと「夜なべ」をしてでもカピバラの落し物を組み立て続けることにした。
細部のリアルさを追求したのはデザイン担当の酒井朝子さん(三愛企画。愛知県豊橋市)だ。パッケージの裏面を見ると、本物のカピバラを寝かせないと撮影できない足の裏がしっかりと写されている。飼育担当の塚本祐輝さん(関連記事を参照)と肉球の質感にまでこだわった酒井さんによる連係プレーの成果だ。なお、名称に関しては全員で議論を重ね、「ウンコ」という直接的な言葉を封印することにした。悪ノリを抑え、実際に購入して食べてくれる客の気持ちに寄り添ったのだ。
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