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社長がフルコミットする必要はない――ポストミレニアル世代の経営戦略長期的に考える(4/4 ページ)

» 2018年10月18日 06時30分 公開
[大矢幸世WORK MILL]
WORK MILL
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東出: だから、頑張ってコミュニケーションを取るようにしています。そういう意味では、やっぱりリモートは課題が多いんです。主にSlackでやり取りしてるのですが、「ありがとう」と活字だけで目にするのと、面と向かって言われるのとでは、受け取り方に差はありますよね。

 やっぱり、マネジメントが重要なんですよ。起業したばかりのころは、ボタン押したら思った通りのものができあがる機械のようにチームを潜在的に捉えていましたが、まったく違う。組織は喜ぶしすねるし、生き物なんですね。最初は、皆を機械みたいに扱ってしまっていた。でも、今はとにかく細かいところまでフォーマット化することや、メンバーが嬉しい気分なのか怒ってるのか、悲しんでるのかなど気を配っています。仕組みと、気配りの両方を徹底していきたいなと。でもあまり細かいことには口を出さない。仕方ないと目をつむるくらいに考えています。

WORK MILL: それはある意味、世の中の経営者やマネジャーが苦心していることですよね。成果を出そうと思うと、つい部下に口を出したくなってしまう人が多いように思います。

東出: その点、僕は「自分でコードを書けない」というのが大きいのだと思います。ザッカーバーグは自分でFacebookを作り始めて、投資を受けて、会社を大きくしていったけど、僕は絶対に誰かに手伝ってもらわないと、会社のビジョンを達成できないんです。常に人の力を借りなければ、何もできない。だから、マネジメントするしかないんです。

WORK MILL: 「何もできない」と言えるのって、とても勇気がいりますよね。

東出: 一応、チームの中では「見守る」という役割と、デザイナーとしての役割は果たそうとしています。サイトやプロダクト、ロゴのデザインや広告的な文章は自分で決めていますし、皆が立体的にイメージできるような外から見える部分は僕がつくっている。そういうのは得意なんですけど、苦手なことは無理してやらない。球技は苦手だし、漢字は全然書けないから、スマートフォンなくしては生きていけない(笑)。諦めの早いところと熱中するところがあって、その切り替えはわりとうまいほうなんです。だから、自分の苦手なことはどんどん人に任せられるのかもしれません。


 前編はここまで。後編では、日本のスタートアップシーンに対する考えや「小さなプロジェクトを立ち上げやすい環境」をつくる目的、そして「幸せ」について考えます。

(テキスト:大矢 幸世/写真:中込 涼/イラスト:野中 聡紀

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