WORK MILL: Yokiが掲げるビジョンはどういったものなのですか。
東出: 「ZOZOスーツ」の旧モデルがまさにそういうものだったんですけど、センサーで体型データを取って、個人にフィットした服をつくるサービスですよね。今は服はZOZOでつくられ送られてきますが、将来は家の3DプリンタにZOZOからデータが送られてきて服がプリントされるような時代が来ると思っています。
つまり、よりパーソナライズされたプロダクトやサービスが登場するのではないか、と。ただ、そこから取り残されてしまうのが「感情のデータ」なんですよね。物理的なデータは収集できても、感情に至るまでフィットさせなければ、本当の意味でパーソナルではない。
ペットと人間の関係のように、言葉は通じないけど、一人一人の感情に寄り添うような情報端末をつくることは可能なんじゃないか、と考えていて今そんな情報端末はロボットである、という仮説を立てています。21世紀中にもっとAI(人工知能)が普及したとき、心でつながれるような「やさしい情報端末」をつくりたいんです。それは、ある意味ドラえもんとかアトムみたいな存在で、多くのロボットメーカーがドラえもんをつくりたい、アトムをつくりたいという目標を掲げています。
でも現状は失敗してしまっているものが多い。それは、そもそもあらゆるものが個人にフィットする時代が来ていないから現時点においては必要ないからだと考えています。僕らはすでにある市場一つ一つに合わせられるようなプロダクトをつくって、一つ一つ成功事例をつくっていこうとしています。
WORK MILL: それが、今開発されている「HACO(ハコ)」なんですね。
東出: ハードウェアとしては、レーザーカッターで出力されたパーツやAmazonで買えるパーツ、「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」などカスタマイズ性の高いもので構成されています。ソフトウェアも「HACREW(ハックル)」といって、ブロックプログラミングとテキストプログラミングの両方が可能。ブロックをひとつ並べれば、テキストが表示されるので、仮にテキストコーディングが分からなくてもプログラミングできるようになってるんです。それに、ライブラリを読み込んだり、APIとつなげることもできる。
つまり、ハードウェアもソフトウェアもオープンソース化して、ユーザーに使い方を委ねることによって、僕らが想像もつかないようなことができるようになるかもしれない。今のところ、8月のプレリリースを予定しているのですが、まずは既存のマーケットに投入して、分かりやすい事例をつくろう、ということで、プログラミング学習に活用してもらおうとしています。
WORK MILL: 最近では、「Nintendo Labo」もまさにユーザーが自由に使い方をカスタマイズできるようなものでしたよね。
東出: 可能性はいろいろあると思っているんです。認知症患者との対話による症状の軽減や、東南アジアにおける日本語教育の教材とか……。この1年くらいで10件くらい目立った事例をつくりたい。僕らはまだ、エンジニアも足りていないし、資金もないし、情報のリソースもない。そういった中で、外部の手を借りることで、やれることを広げていけたらいいなと思っています。
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