「そうだ 京都、行こう。」の広告効果にJR東海は自信を持っていたはずだ。なぜなら、1987年夏に実施したCM「シンデレラ・エクスプレス」が大ヒットし、実際に遠距離恋愛の男女たちが週末の新幹線を利用するようになったからだ。バブル景気でもあり、電話や手紙よりも新幹線で会いに行こうという機運が盛り上がった。89年には「クリスマス・エクスプレス」も始まっている。2003年には人気グループのTOKIOを起用して「AMBITIOUS JAPAN!」キャンペーンを展開。東海道新幹線の車体にもロゴを入れるほど力を入れた。このときのキャンペーンソングは、いまも東海道新幹線の車内放送のチャイムになっている。
現在、JR東海のプロモーションはインターネット予約システム「エクスプレス予約(EX予約)」と「スマートEX」、そして「そうだ 京都、行こう。」が継続している。ビジネスとレジャーの2本立てで、新幹線の需要を全てまかなう布陣だ。注目すべき点は「そうだ 京都、行こう。」が25年も続いたこと。そして今年で長塚氏のナレーション引退という雰囲気から、来年は新たなナレーターで継続するとみられることだ。
「シンデレラ・エクスプレス」や「クリスマス・エクスプレス」などは新生・JR東海のイメージ戦略だった。「AMBITIOUS JAPAN!」と併せて若い層にアピールし、「おじさんの新幹線」というイメージを払拭する効果があった。しかし、これらのキャンペーンは役目を終えている。
一方、「エクスプレス予約(EX予約)」「スマートEX」は普及期であって、まだまだ会員獲得の告知が必要だ。しかし、「新幹線で京都へ」も、すっかり定着した感がある。何しろ25年もやっている。
なぜ「そうだ 京都、行こう。」が25年も続き、これからも続くか。その理由は、キャンペーンの目的が変わったからだと私は考える。当初は「休日のレジャー客獲得」であった。これはグループ会社のJR東海ツアーズが1990年から販売している限定格安ツアー「ぷらっとこだま」や、「そうだ 京都、行こう。」と逆方向の需要を喚起する「トーキョーブックマーク」などの旅行商品として結実している。
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