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朝ドラ『半分、青い。』の主人公には、5つの習慣があった偶然を計画的に設計(1/4 ページ)

» 2018年10月26日 10時32分 公開
[内藤由貴子INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

 9月末で終了したNHKの朝ドラ『半分、青い。』。いろいろな意味で賛否両論ありましたが、ヒロイン鈴愛の職業の変化を見ると、これはキャリアドラフトではないかと思いました。 改めて、クランボルツの「計画された偶発性理論」で見るとなかなか興味深いです。クランボルツが説く計画的な偶発性を招き入れる5つの習慣も踏まえて、ドラマを見直します。

『半分、青い。』はキャリアドリフト

 NHKの朝ドラ『半分、青い。』が9月末に終了しました。このドラマ、本当ならもっと早くこのドラマを取り上げたかったのですが、ジェットコースターに例えられたこのドラマ、あまりにも展開が速く、気づけばネタがすぐに古くなる状態でした。

 10月からすでに次のドラマが始まっていますが、このドラマを取り上げたくなったのは、主人公の鈴愛の生き方が、キャリアドリフトだと気付いたからです。

 キャリアドリフトは、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツの約20年前の「計画された偶発性理論」によるもので、「キャリアの8割は、予想しない偶発的なことによって決定される」と言います。そして、その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていこうという考え方です。

 ご存じない方のために「半分。青い。」についてざっくりとストーリーを振り返ります。

ドラマを振り返る

 岐阜のふくろう商店街で同じ7月7日に同じ病院で生まれた鈴愛(すずめ)と律は、幼なじみとして育つが、神童と言われ優しい律を鈴愛はマグマ大使のように笛で呼び出すことしばしば。鈴愛は食堂を営む家族のもとで元気いっぱい天真爛漫(てんしんらんまん)に育つが、小学生の時、おたふく風邪で左耳を失聴する。

 律のくれた秋風羽織の少女マンガを読んで感動し、マンガを描き始めた鈴愛は、サイン会をきっかけに秋風の塾に入りアシスタントをしながら、マンガ修行する。やがて賞を取ってデビューし、漫画家として連載を持ち、コミックスも出せるまでに。しかし、人気に陰りが出て、連載中止、やがて描けなくなって挫折し、漫画家をやめる。

 100円ショップのバイトで知り合った涼次と結婚し、一女をもうけたが、映画監督の夢を捨てきれなかった涼次が、監督のチャンスに賭けるため離婚。鈴愛はいったん実家の岐阜に戻り、祖父秘伝の五平餅を出すカフェを軌道に乗せるが、娘が望むスケートを習わせるために、東京の企画会社に就職、その会社が潰れて、お一人様メーカーをしながら屋台で五平餅を売っていた時、幼なじみの律と再会。律も離婚し大手の電機メーカーをやめ、鈴愛とそよ風が吹く扇風機を作る会社を起業、開発に成功する。

 あまりにも状況の展開が速く、また、鈴愛と律の愛のすれ違い、別の人と結婚し、離婚、2人の愛の行方はどうなるの……というラブストーリ^の側面が強かったのですが、ここではそれは、キャリアのお話しに絞って、脇に置いておきます。

 鈴愛の職業は、 マンガ家→百円ショップのアルバイト→五平餅のカフェオーナー→企画会社の事務→お一人さまメーカー(+五平餅屋台)→そよ風扇風機の開発、発売……という具合にドリフトしました。

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