サンヨネの長期的な視点は商品開発でも貫かれている。基本となるのは、取引先とのwin-winの関係。決して買い叩いたりはしない。それどころか生産者がもっと豊かに生活できる買い取り価格をこちらから提示している。
例えば、ある農家が年間出荷額で3500万円のイチゴを生産していたとする。農協などを通していた場合、流通コストとして3割ほど引かれるのが普通だ。すると、農家に残るのはおよそ2500万円になる。十分な年収だと思われるかもしれないが、資材や燃料などのコストを引くと半額程度まで減ってしまい、家族4人で農作業をしていたとすると1人分の年収は低いのが現実だ。
サンヨネは基本的に契約運送会社のトラックで買い付けに行き、そのまま3500万円で購入する。優秀な農家が経済的に潤い、次世代も引き継いでくれたら、おいしいイチゴを安定的に仕入れられることになる。サンヨネにとってもメリットがあるのだ。
「私はずっと前から言っていることですが、農家はサラリーマンの3倍以上もうけるべきなのです。サラリーマンが700万円なら農家は2100万円、ですね。なぜなら、農家のほとんどは奥さんやおじいさんおばあさんの力を借りているので1人分の年収では割に合わないからです。天候不順などのリスクが常にあるので備えも必要でしょう」
三浦さんは農家の状況を見ながら農法まで一緒に考える。長野県のある果樹農家では、三浦さんが勧めた農法によって果物の質と量が格段に上がり、それを全てサンヨネが買い取ることによって農業収入が4倍に増えた。そのため、大企業に勤めていた息子が会社を辞めて家業に入り、さらにその息子も農業高校を卒業。来年からは親子三代の専業農家が誕生する。それだけの収入と見通しがあるからこその朗報だ。
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