では、この時代を生きた我々の先輩たちはどうやって「深刻な人手不足」を乗り切ろうとしたのかというと、「生産性向上」だ。この時代の経済記事には平成日本とほぼ変わらない、中小企業の生産性をどうやって上げていくのかということや、採用のために、新人の賃金をどうやって上げていくかなどのテーマが非常に多く見られるのだ。
つまり、日本企業の「生産性向上」というのは、昨今の人口減少うんぬんは関係なく、50年以上前に掲げながら先送りされてきた因縁のテーマなのだ。
なんてことを言うと、現実問題として、日本の生産性が悪いということは、この時代の人たちが問題先送りをしたってことだろ、と思う方もいるかもしれない。ただ、先人たちの名誉のために言っておくと、彼らが失敗したのは、ちょうどこの時期から日本の「生産性向上」を阻む人の大量流入があったことが大きい。
もうお分かりだろう、それは「外国人労働者」である。
『政府の反対姿勢にもかかわらず――根をおろす外人労働者 研修生の名で入国 深刻な人手不足の中で』(朝日新聞 1973年2月8日)というようなニュースが1970年代から右肩上がりで増えていく。研修生や観光の名目で入国した外国人が、ブローカーを介して労働現場へ送り込まれるというスキームが確立していったのだ。
低賃金でコキ使える労働力は、経営者にとって覚醒剤のようなもので、一度でもそこに依存してしまうと、中毒者となって、その労働力なしにはビジネスが回らない。もっと外国人労働者を、もっとたくさん受け入れないと死んでしまう――。
このような外国人労働者中毒が、日本の経営者の中に伝染病のようにまん延して、今多くの人が指摘する、「日本は既に移民大国だ」という国のグランドデザインは、このあたりからスタートしたというわけだ。
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