テロが分かりやすいが、「恐怖」は人から人へと伝染していく。経営者たちの「人手不足で日本が滅びる」という恐怖が経済メディアなどを介して、社会に急速に広がっている。
本来であれば、「外国人は来るな!」と叫んでいる方たちが、真っ先に「移民政策」に反対しているはずである。しかし、「ま、外国人労働者ならしょうがないか」となるのは、イデオロギーに恐怖が勝ってしまったからだ。ただ、これまで述べてきたように、本当の恐怖は「移民政策」を進めた後からやってくる。
今回、安倍さんはかたくなに移民政策ということを否定するが、実は戦前の日本でも、後に在日朝鮮人となる外国人の方たちを受け入れるという事実上の移民政策を行なった際、政治家は「労力の輸入」と言い換えている。ちょっと前に安倍さんが好んで使った「一億総活躍」も戦前のリバイバルで、読売新聞で1942年に「一億皆労へ覚悟はよいか」なんて連載が行われている。
「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍さんらしいといえばそれまでだが、経済戦争の指揮を執るリーダーがここまで「戦前レジーム」にとらわれてしまうのもいかがなものか。
選挙対策でゴリ押しした今回の移民政策が、「第二の敗戦」への引き金にならないことを心から祈りたい。
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