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» 2018年12月04日 08時17分 公開

スピン経済の歩き方:結局のところ、水道はどうすればいいのか 公も民もダメダメな理由 (4/5)

[窪田順生,ITmedia]

日本の悪評を世界に広めるだけ

 「民営化」ばかりに注目が集まってしまっているが、実は今回の水道法改正には、「広域連携」を進めるための協議会の設置を可能にすることも含まれている。

 水道の料金高騰を招き、不正の温床となる「各地域の水道利権」にメスを入れようという試みが入ったのは素直に評価すべきだが、問題の本質に手を突っ込む施策にはそこまで踏み込まず、問題を先送りする「民営化」ばかりが注目を集めている。そのような意味では、同じ国会でゴリ押しされている入管法改正案とよく似ている。

 前回も述べたように、日本の経営者が大騒ぎしている「人手不足」のほとんどは雇用ミスマッチが原因だ

 賃金が低くて待遇も悪い。そんな生産性の悪い小規模事業者が日本には多すぎる。彼らを「延命」させるには弱い立場の「奴隷」が必要だ。が、若者や派遣労働者からも敬遠されてきた。そこで、何も知らぬ外国人にやらせちゃえ、というのが今回の改正案の真の狙いなのだ。

 ここでやるべきは、「奴隷」を増やすことではなく、まずは技能実習生や外国人留学生の皆さんの待遇をよくすることであるのは明白だ。労働者の賃金アップや待遇改善についていけない小規模事業者は残念ながら自然に「淘汰」される。

 これは経営者個人で見れば「悲劇」だが、日本として見ればそれほど悪い話ではない。産業内の「事業統合」が促進されてスケールメリットが出るのでコストも減るし、無駄な人員も削減できる。要は、先ほど触れた「広域化」の恩恵に授かることができるのだ。

 このような生産性向上策を進めて、賃金と待遇という環境を整えた上で、それでもなお労働者が必要だというのなら、移民でもなんでもやればいい。今のままでは、日本人労働者が被害者となっているパワハラやセクハラを外国人にまで広めて、日本の悪評を世界に広めるだけだ。

 水道も全く同じだ。「統合」という生産性向上を抜きに民営化を進めても、自治体の水道局を買おうというもの好きはいない。破たんした不良物件を押しつけられるだけだからだ。

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