11月26日、米AP通信などが報じたニュースが世界的に大きな物議を醸している。遺伝子を操作する「ゲノム編集」についての記事だ。
「中国の研究者が、世界で初となるゲノム編集された双子の赤ん坊を産む手助けをしたと主張している。この研究者は、命の青写真を書き換えることができる新しい強力な方法で双子の赤ん坊のDNAに手を加えたという。事実だとすれば、科学と倫理の分野における重大な一歩となるだろう」
中国・広東省深センにある南方科技大学の賀建奎・副教授が、クリスパー・キャスと呼ばれるゲノム編集技術を使って改変したヒトの受精卵から、双子の女児「ルル」と「ナナ」が11月に誕生したと明らかにした。エイズ感染を防ぐために遺伝子操作したとされるが、このニュースには世界中の科学者たちが激しく反応。中国科学技術省が批判したことに加え、中国生物医学界も11月27日にこの行為を「狂気の沙汰」と強く批判する書簡を公開。日本でも、日本ゲノム編集学会や日本医師会、日本医学会がこの行為を「大きな問題がある」と批判した。
ただこの話はなぜ「狂気の沙汰」とまで言われるのか、すぐにはピンとこなかった。普通に考えると、生まれる前に遺伝子を操作するのは倫理的に問題があるという話はもっともな気がするが、遺伝子操作はいったい何がいけないのか、はっきりと分からない人も少なくないのではないか。そもそも、どんな危険性を孕んでおり、どこまで「重大」なことなのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング