アジア攻めるNetflix、日本作品は生き残れるか 首脳部に直撃 映像ジャーナリスト数土直志が問う(7/7 ページ)

» 2018年12月10日 07時00分 公開
[数土直志ITmedia]
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日本のターゲット層、若者からさらに広く

――日本に多くの配信会社がある中で、Netflixは日本進出した際に、20代から30代と若い層をターゲットにしていたと思います。さらにターゲット層を広げるのでしょうか?

サランドス氏: 番組を増やす中で挑戦していきたいと思います。確かにNetflixが得意とする海外ドラマやアニメは若い世代に非常にアピールします。まずはそこからスタートしました。しかし私たちにはオリジナルコンテンツがあり、誰が何を見ているか知っています。今後はよりメインストリームに広げていきたいと思います。米国でも10年前は若いユーザーが多かったので、同じ形です。

――Netflixには映画、ドラマ、ドキュメンタリーと豊富なコンテンツがありますが、ここに音楽ライブやスポーツを加える可能性はありますか?

サランドス氏: スポーツのライブ中継には全く関心がありません。私たちのビジネスはオンデマンドです。同様にニュースにも関心はありません。視聴者が見たい時に見たい番組を選ぶことを大切にしたいのです。これはライブ放送とはまた違う体験なのです。

――作品を選ぶ決め手は何になりますか?

サランドス氏: たぶん他の人たちとそんなに変わりはないです。人々を魅了する世界観、キャラクター、そしてストーリーです。その3つの要素です。

――Netflixはクリエティブに対して自由度が高いとも聞きます。

サランドス氏: 私たちの仕事は正しいものを選び出すことです。いったん決まってしまえば、私たちはツールにすぎないのです。私たちはグローバル企業ですので、世界中からいろいろなことを学んでいます。それをマーケットのなかで活用しています。作品を作る側からは強力なツールになるはずです。

――Netflixは米国から米国の作品を世界に流通させるだけでなく、世界中をコンテンツの生産地に変えています。変革者との自覚はあるのでしょうか?

サランドス氏: エキサイティングでスリリングな経験をしていますね。世界の人口の6割はアジアなのです。そこでコンテンツを生みださない理由はないのです。

著者プロフィール

数土直志(すど ただし)

ジャーナリスト。メキシコ生まれ、横浜育ち。アニメーションを中心に映像ビジネスに関する報道・研究を手掛ける。証券会社を経て2004 年に情報サイト「アニメ!アニメ!」を設立。09年にはアニメビジネス情報の「アニメ! アニメ! ビズ」を立ち上げ編集長を務める。16年に「アニメ! アニメ!」を離れて独立。主な著書に『誰がこれからのアニメをつくるのか? 中国資本とネット配信が起こす静かな革命』 (星海社新書)。


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