2019年10月の消費増税と同時に導入される軽減税率。外食・酒類を除く飲食料品は10パーセントから8パーセントに軽減される。今回、特に小売店に併設されているイートインでの混乱が懸念されている。コンビニやスーパーをはじめ店頭で飲食できる小売りのスペースは意外と多い。現場でどこまで制度変更が厳しく適用されるのか、実態はなかなか見えてこない。
東京都板橋区のとある戦前から続く酒販店。店舗内には立ち飲みできる「角打ち」専用のスペースが設けられている。いかにも昭和風のポスターが飾られ年季の入った店内では、夕方を過ぎると高齢の客が3〜4人、静かにお酒をたしなむ。10〜20種類の乾き物に加えてレトルトのおでんもその場で食べられる。
こうした昔ながらの角打ちは、近年「ちょい飲み」ブームもあって脚光を浴びている。店内でおつまみを買って持ち帰った場合は軽減対象の8パーセントだが、角打ちスペースで食べればコンビニのイートインと同様、「外食」の扱いになり10パーセントになるとみられる。
店主の男性(76)は「最近レジの機械も新調したのに……。どうしていいか分からない」と困惑する。「いっそ全部10パーセントにしてもらっても良かったのに」とも愚痴るが、いちいち客にどこで食べるか聞いたりして価格を変えるのは「面倒くさいし、現実的にチェックは無理」。角打ちのつまみもそのまま8パーセントで売り続けるつもりという。
大手小売り側の対応もまだはっきりしていない。10月には「コンビニ業界が全食品を軽減税率の対象として調整している」という報道が流れた。業界団体である日本フランチャイズチェーン協会(東京・港)は、あくまで店内で飲食すれば10パーセントが適用されるという前提に立った上で「店舗での混乱が生じないよう運用方法について要望しているが、政府から新たな方針は示されていない」と説明する。
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