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私が「ドラクエ」から“Vチューバー”アイドルのプロデューサーになった理由スクエニ取締役・齊藤陽介の仕事哲学【後編】(5/6 ページ)

» 2018年12月25日 08時15分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

社員数は10倍 「ドラクエX」も内製化

――どんなふうに変わったのでしょうか。

 社員数が一気に10倍を越えたというのと、一番大きかったのはそもそものモノ作りの仕方が違っていた点ですね。先ほどエニックスは100人しか社員がいなかったと言いましたが、ゲーム作りにおいてはアウトソーシングが基本だったんですよ。ゲームを作る過程で、社内にはほぼプロデューサーしかいないという感じです。

 開発の現場は外のデベロッパーさんにお願いするという形を採っていました。形態としては漫画の編集に近いかもしれないですね。一方のスクウェアは、社内に開発チームがいて、社内を中心にゲームを作っていました。ですので、合併をしたことで社内にも開発スタッフがいるようになったんです。

 外注する場合はコストを抑えることができますが、社内に開発者がいるということは、モノを作ってない時間も含めて人件費が発生してしまいます。しかし一方で、社内に開発スタッフがいることによって、ゲーム開発を通じて得られたノウハウやモノが社内に蓄積されていくという代えがたいメリットもあります。合併したことによって両方の選択ができるようになったのが、変わった部分の一つですね。

――そのあたりのご経験が、「ドラクエ」の開発に生かされた点はありますか。

 例えば「ドラクエ」シリーズは、伝統的に外注をするやり方だったのですが、「ドラクエX」では、シリーズで初めて社内で開発する形を採りました。続く「ドラクエXI」では、プレイステーション4版とニンテンドー3DS版とで、それぞれ別の開発会社にお願いしていたのですが、方針や意識を明確に現場に落とすポジションの多くが社内スタッフになっています。いうなればハイブリッドですね。

――「GEMS COMPANY」の開発では生かされていますか。

 発注先に対して、より多様性が持てるようになったという意味では生かされていると思います。かつてはゲームの会社に限られていたものが、イラストの会社など、ゲーム開発経験がないところとも協働してゲームを作るように変わってきています。実際「GEMS COMPANY」においても、「ディアステージ」という芸能プロダクションさんと一緒にやらせていただいています。これは昔だと考えられなかったことですね。

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