インタビュー
» 2018年12月26日 08時32分 公開

マツコが絶賛した予約殺到の「できたてポテトチップ」! “神がかったうまさ”の舞台裏に迫る中小企業が大企業に勝つ方法(2/6 ページ)

[中西享ITmedia]

クレームが急増

 「マツコの知らない世界」によるヒットで、配送を頼んでいたヤマト運輸との特別対応が必要となり、「うれしい悲鳴」(岩井社長)となった。だが当然、良かったことばかりではない。岩井社長は「ヒット商品になったことで、消費者の商品への期待値が高くなった。その結果、14年までは毎年50件程度だったクレームが、15年は134件と大幅に増えた」という。調べてみると、根強いファンからは「1年前に買ったときと味が違う」「湿っている」「油臭い」「緑色に変色している」などの苦情が多く、消費者の要求レベルが高くなってしまったのだ。

 ポテトチップの原料となるじゃがいもは、品種や産地によってデンプン質や水分量が微妙に異なり、少しの違いが味の微妙な変化につながる。これを少しでも改善しようと翌年からは、商品の品質管理に力を入れるようにしたのだ。2年前までは検査の工程で光を使って不良品を除外していたが、緑色に変色したものを除くのは難しかった。そこで、カラーによって緑色の変色を検知できる最新の機械を導入するなどしたことで、「翌年からクレームが大幅に減った」(岩井社長)という。売り上げは増えるのに反比例してクレームは減ったため、岩井社長は「品質が上がったのを実感した」のだ。

 またスライスしたじゃがいもを揚げる際に使う油は、コメ油とパーム油の2種類を使うが、品質を上げるためには、季節によってこの比率を変え、調整しなければならない。特に菊水堂では「できたて」を売りにしているため、大手と比べてコメ油の量を多くしている。そうすることによって、製造してから1週間は大手の商品にはない独特の食感を保つことができるのだ。いわば「期間限定のプレミアムポテトチップ」である。だが、逆に1カ月ほど経過してしまうと、菊水堂の商品には“ベと付き感”が出やすくなり、大手の商品の方が質的に勝るようになるという。このため、製造してからできるだけ早く食べてもらうことで、同社の存在感を発揮できるのだ。

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phot じゃがいもを揚げてから袋詰めまでわずか8分ほど。全工程でも1時間ほどだという
phot 光を当てることで色が変わったポテトチップを除外している
phot クレームは全て蓄積し、製造現場に生かしている

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