マツコが絶賛した予約殺到の「できたてポテトチップ」! “神がかったうまさ”の舞台裏に迫る中小企業が大企業に勝つ方法(4/6 ページ)

» 2018年12月26日 08時32分 公開
[中西享ITmedia]

温度管理で味が変わる

 工場を見せてもらうと、訪問した日は北海道の音更町産のじゃがいもを使って製造していた。岩井社長は倉庫に積まれたじゃがいもを「今年の音更のじゃがいもは例年より少し小さい」と教えてくれた。一目見るだけで違いが分かるのだ。

 製造工程には温度、湿度、でんぷん質、油分などを計測する計器がいくつも設置され、「少しの変化も見逃さない」(岩井社長)というほどの「観測体制」になっているのをみて、記者は驚いた。壁には昨日、一昨日、1年前の同日の温度、湿度などが記録してあり、これを比較することで経験値を積み上げることができるのだ。岩井社長は「じゃがいもは8割が水分なので、フライ時の水分量がポイントとなる。今日は雨が降っているから、少し調整した方がいい」と担当者に指示を出す。

 製造工程を任されている入社11年目の土谷淳さん(31歳)は、こうしたデータの蓄積によって経験を積んできているが、まだ岩井社長の経験と勘にはかなわないようだった。「工場の中にいると分からなかったが、展示会に出席した際に子どもたちがおいしくポテトチップを食べている顔をみるとやりがいを覚えた」と笑顔を見せる。

phot 同じ味を年がら年中保つためには温度管理が欠かせない
phot 製造工程を任されている土谷淳さん
phot 油分が規定の量になっているか測っている
phot 今年の音更産のじゃがいも。高温と光を避けるため扇風機で冷やしながら暗室で保存

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