先週、興味深い社説がウォール・ストリート・ジャーナル(以下、WSJ)に出ていた。
日本国内で強欲外国人経営者と叩かれるカルロス・ゴーン氏の主張のほうが、東京地検特捜部の逮捕容疑よりも「説得力があった」と肩を持つだけではなく、日産の役員会で扱うような問題で捜査機関が介入し、7週間も勾留する日本の司法を「奇妙」として、不可思議な世界に少女が迷い込む「不思議の国のアリス」になぞらえ、「不思議の国のゴーン」なんて茶化しているのだ。
もちろん、そこは天下のWSJなので茶化すだけではない。日本の司法を痛烈に批判しているのだ。提携しているダイヤモンド・オンラインが配信した記事を引用しよう。
『世界が知りつつあるように、日本の検察のやり方は誰かを起訴して裁判に持ち込み、被告に証拠を突き付けるものではない。有罪を認めるまで被疑者を拘束し、弁護士の立ち会いなしに尋問する。裁判は基本的に形式的なもので、あらかじめ有罪は決まっている』(ダイヤモンド・オンライン 2019年1月11日)
要するに、日本はいまだに独裁国家のように前近代的な司法制度なので、ゴーンの裁判もまともに行われずに、検察の「ストーリー」をなぞる「出来レース」ですよ、というわけだ。
これと同様な主張はゴーン氏の妻から泣きつかれている、世界的人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のアジア局長、ブラッド・アダムズ氏も展開している。
『驚くべきことだが、日本の刑事訴訟法では、容疑者の取調べに弁護人は立ち会えない。こんな対応は独裁政権下のことかと思うだろうが、日本のことだ。日本に対しても法的拘束力がある国際人権法は「自ら選任する弁護人と連絡する」権利を容疑者に保障しており、この権利は直ちに制限なく弁護人にアクセスできる意味と解されている』(HUMAN RIGHTS WATCHのWebサイト)
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