公共交通が示す「ドアtoドア」の未来 鉄道はMaaSの軸になれるのか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/6 ページ)

» 2019年01月18日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

 2018年、日本の先進交通分野で頻出した言葉が「MaaS(Mobility as a Service)」だ。報道などを追うと、シェアカーや自動運転など、自動車業界で語られることが多かった。しかし鉄道とも無関係ではない。むしろ鉄道が重要な基軸になると考えられる。

photo 未来の移動サービスの構想で注目される「MaaS」の概念。鉄道が重要な軸になる(写真提供:ゲッティイメージズ)

JR東日本は「MaaS」という言葉を使わなかった

 16年11月、JR東日本は「技術革新中長期ビジョン」を策定した。ここでは第一に「安全・安心」を掲げており、さすがと思わせるけれども、2番目に挙げられた項目が「サービス&マーケティング」で、次のように記されている。

バス・タクシーなどの他交通機関、自動運転技術やシェアリングの進展が著しい自動車、気象情報等のさまざまなデータを、リアルタイムで連携することが可能になると考えています。(中略)お客さまにとって“Now 今だけ, Here ここだけ, Me 私だけ”の価値の提供をめざします。(中略)臨機応変な列車運行や、二次交通との高度な連携など、スムーズにDoor to Doorの移動ができるモビリティサービスの提供をめざします。(出典:「技術革新中長期ビジョン」の策定

 この文書には「MaaS」という単語は出てこない。しかしこれこそがMaaSの概念だ。

photo JR東日本が18年11月13日の産官協議会で発表したMaaSの概念図(出典:JR東日本におけるMaaSの取組みについて
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