お笑いをつまらなくしたのは誰か セクハラの境界線視聴率ダウン(2/4 ページ)

» 2019年01月25日 10時28分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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(2)「信頼関係があればハラスメントではない」は通じない

 ハラスメント対処が遅れればその企業組織の存亡にかかわる巨大なリスクとなった今、社会を上げてハラスメントの認識を高めているのが一般の社会です。しかし一方で、政治家を中心に「そんなつもり(ハラスメントの意図)はなかった」「本人も了解・納得している」「(不倫でも)個人間の恋愛関係に基づいたもの」という言い訳が行われます。本稿で挙げた3つの例すべてで、こうした言い訳が聞かれます。

 結論からいば、ハラスメント行為かどうかでいうなら「全部ダメ」です。

 重要な点は「本人同意」とハラスメントは関係ないということです。完全密室で他の誰にも聞かれない状況であれば、本人以外影響がありませんので、本当に本人が良いのであればそもそも問題になることがありません。しかし実際は第三者もいる公の場で行われることによって、問題は露呈し大批判を呼ぶことになります。

 「本人の了解」を証明することは一般的にきわめて困難で、都議会でセクハラやじを受けた塩村文夏都議(当時)は、そのセクハラやじの場面でははにかんだ笑顔のようにも見える表情を浮かべました。痴漢の瞬間声が出せないのと同様に、ハラスメントにおいて被害者がその場で訴え出ることは、政治家でさえ難しいのです。多くの場合加害者側が発する「信頼関係がある」はハラスメントにおいて何の免罪符にもなりません。では松本さんの場合もそのように考えるべきなのでしょうか?

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