人工流れ星ベンチャー、ALEの社長が描く科学の未来とは?宇宙ビジネスの新潮流(3/3 ページ)

» 2019年02月15日 16時45分 公開
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宇宙旅行の安全性にも貢献

 人工流れ星を実現するために、ALEでは流星源放出機構を積んだ人工衛星を打ち上げ、その後に軌道高度を下げるミッションを行い、所定の軌道高度に到達した後に放出装置の方向、位置、速度を統合制御して流星源を放出します。この全てがリエントリーのための技術やノウハウのかたまりです。

 具体的な事業として考えているのは、流星源が通過する高度60〜80kmの高層大気の研究です。ここ1年ほど宇宙旅行に対する期待が高まりつつありますが、当面の市場は高度100kmまでの弾道宇宙旅行です。まさに高層大気の分布や観測が将来的な宇宙旅行の安全性確保に役に立つのではと思っています。

 別途考えているのが「ALE Flying lab」という事業コンセプトです。流星源の放出を終えた人工衛星の内部でさまざまな宇宙実験を行い、将来的にはそれを地球に帰還させることができるようになればと思います。米国などではそうしたオンデマンド型の宇宙実験が政府機関では行われています。エンターテイメントに加えて、技術や科学など、さまざまな切り口でALEの活動を広げていきたいと思います。そして人類の生活する文化圏を宇宙に拡大していきたいです。


 筆者自身、岡島氏とは以前から面識があるが、今回はALEのエンターテイメント性以外の側面を深く伺うことができて、非常に意義深いインタビューであった。世界的に見てもユニークなALEの取り組みを今後も注視していきたい。

著者プロフィール

石田 真康(MASAYASU ISHIDA)

A.T. カーニー株式会社 プリンシパル

ハイテク・IT業界、自動車業界などを中心に、15年のコンサルティング経験。東京大学工学部卒。内閣府 宇宙政策委員会 宇宙民生利用部会 委員。日本初の民間宇宙ビジネスカンファレンスを主催する一般社団法人SPACETIDE共同創業者 兼 代表理事。日本発の民間月面無人探査を目指すチーム「HAKUTO(ハクト)」のプロボノメンバー。著書に「宇宙ビジネス入門 Newspace革命の全貌」(日経BP社)。

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