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» 2019年02月21日 06時30分 公開

“いま”が分かるビジネス塾:バイトテロの社会問題化で何が進むのか? (3/3)

[加谷珪一,ITmedia]
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結局は機械化や外国人登用を加速させる?

 ファストフードやコンビニの店員は、一般的には単純労働とみなされているが、その業務内容は多岐にわたっており、単純労働とは言い切れない部分がある。このため他の業種に比べて、AI(人工知能)化、機械化が難しいと言われている。

 だが、機械化を業務の一部分に限定する、あるいは、多少のコスト増を容認するのであれば、機械化を進め、店員数を削減するのは不可能ではない。店員数が減れば、ある程度、質を上げられるので、こうした行為が発生するリスクを抑制できる。アルバイト店員の行動が企業経営に甚大な影響を及ぼすのであれば、相応のコストを投じてもよいと考える経営者が出てきてもおかしくはないだろう。

コンビニの業務内容は多岐にわたる コンビニの業務内容は多岐にわたる

 短期的な視点では外国人店員の雇用が進む可能性も考えられる。

 日本で働いている外国人労働者の中には、母国でのさまざまな事情から、彼ら自身が持っている能力を十分に生かし切れない業務に従事する人も多い。外食産業やコンビニにおいては、本来であれば店長などマネジメント業務もできるレベルの人材が、ごく普通に一般店員として働いている。

 彼らの業務レベルは総じて高く、日本人の店員を雇うよりリスクが圧倒的に低いと考える企業は多いはずだ。機械化までの経過措置として、外国人の雇用が進む可能性は高く、優秀な外国人店員はまさに争奪戦となるだろう。

 日本は消費者の購買力が低く、外食チェーンは価格をちょっとでも上げると客数が減少する。コスト増加分を価格に転嫁できないので、各社ともギリギリのラインで運営しているのが現実である。

 極めて安価なサービスであっても、全従業員に対して完璧な行動を求めるのは、構造的にそもそも無理がある。一定割合でこうした行為が発生することについて、社会的にまったく許容できないのであれば、機械化や外国人の登用が進むことにならざるを得ないだろう。

加谷珪一(かや けいいち/経済評論家)

 仙台市生まれ。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。

 野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当。独立後は、中央省庁や政府系金融機関など対するコンサルティング業務に従事。現在は、経済、金融、ビジネス、ITなど多方面の分野で執筆活動を行っている。

 著書に「AI時代に生き残る企業、淘汰される企業」(宝島社)、「お金持ちはなぜ「教養」を必死に学ぶのか」(朝日新聞出版)、「お金持ちの教科書」(CCCメディアハウス)、「億万長者の情報整理術」(朝日新聞出版)などがある。


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