コラム
» 2019年02月21日 05時00分 公開

世の中の写し鏡か?:嵐の活動休止で考える「中年の発達課題」とSMAPとの違い (1/4)

2020年をもって活動を休止する嵐。彼らはちょうど初期成年期から成年期に差し掛かる年代であり、20年にはリーダーの大野さんも40歳になる。彼らは自分たちの発達課題を自覚したのかもしれない。ライフサイクル理論を用いて嵐の解散について考えてみたい。

[金子浩明,GLOBIS知見録]
GLOBIS知見録

 アイドルグループの嵐が、2020年をもって活動を休止すると発表した。

 その理由は、リーダーの大野智さん(38歳)の意向を尊重した結果だという。大野さんは会見で、「勝手ではありますが、一度何事にも縛られず、自由な生活がしてみたい、そう伝えました」と述べた。21年以降、大野さんは芸能活動を休止し、4人はソロで活動する。

2020年で活動を休止するアイドルグループの嵐(写真はイメージです) 2020年で活動を休止するアイドルグループの嵐(写真はイメージです)

 嵐がデビューしたのは1999年。今年でデビュー20周年になる。ジャニー喜多川氏いわく「昔は、嵐くらいの年齢で歌ったり踊ったりすると笑われたものです」。当時はティーンエイジャーだったメンバーも、中年に差し掛かろうとしている。あと5年もすれば、全員が40代のオッサンだ。このままアイドルグループとしての活動を続けることへの迷いが生じるのは、自然なことである。

 発達心理学者のE・H・エリクソン(1902〜94)の「心理社会的発達理論(ライフサイクル理論)」によると、人間とは誕生から死まで生涯をかけて発達する存在であり、各発達段階に応じた危機(発達課題)に直面するという。発達課題は「成長・健康に向かうプラスの力」と「退行・病理に向かうマイナスの力」が拮抗している状態であり、両方の関係性が人の発達に大きく影響する。マイナスの力を抱えつつも、プラスの力をより強くすることで、社会に適応した健康な発達を遂げ、社会の中でより良く生きるための力が獲得されるとしている(下表)

エリクソンの「ライフサイクル理論」 エリクソンの「ライフサイクル理論」

 嵐は、ちょうど初期成年期から成年期に差し掛かる年代であり、2020年にはリーダーの大野さんも40歳になる。彼らは自分たちの発達課題を自覚したのかもしれない。そこで、ライフサイクル理論を用いて嵐の解散について考えてみる。

ライフサイクル理論に基づく、嵐の分析

■青年期:アイデンティティの確立(自己同一性 対 同一性の拡散)

 青年期とは13歳から20歳くらいの期間(現代の日本では、30歳くらいまで)を指し、この期間のテーマはアイデンティティ(自己同一性)の確立になる。

 アイデンティティが確立する前は、自分が何者か分からない状況で、理想の人物の真似(同一化)をしたり、これまでの自分を否定したりしながら、所属する集団や人間関係の中で自分の居場所を確保しようとする。こうして、自分なりの価値観や仕事を見つけ、自分は自分であるという確信や自信(同一性)を獲得していくのだが、それに失敗した場合は、人格や情緒が不安定なままになってしまう。

 嵐の場合はどうか。嵐は各メンバーのキャラクターが際立っている。正統派アイドル路線の松本さん、知的キャラクターでニュースキャスターも務める桜井さん、歌とダンスでグループを支える大野さん、ハリウッド映画にも出演し、役者としての評価が高い二宮さん、ほんわかキャラクターの相葉さん、それぞれが自分の居場所を確立していることを考えると、アイデンティティの確立に成功していると言えるだろう。

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