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働く人が“楽”になるために、僕はこんなことをしてきた通勤をなくす(5/6 ページ)

» 2019年02月22日 07時34分 公開
[倉貫義人ITmedia]

ステップ(7)論理出社で全社員リモートワーク推奨にする

 バーチャルオフィスを導入できたら、ようやく全社員リモートワークをしても大丈夫な土壌が整います。ただ、私たちの会社では、バーチャルオフィスを導入したとはいえ、当時まだオフィスはありました。むしろ会社の人数が20人近くになってきたので、さらに受け入れられるよう、渋谷に大きめのオフィスを借りて移転をしたのです。だから、全社員がバーチャルオフィスでコミュニケーションしながら、物理オフィスも併用していました。

 私たちは、実際の渋谷にあるオフィスに出社することを「物理出社」と呼び、バーチャルオフィスに出社することを「論理出社」と呼んでいました。そこから次第に、リモートワークで働く社員の数が増えていき、社内の半数を超える数になったとき、物理出社している社員のほうがマイノリティーになってしまったのです。そこで公平にするために、思い切って全社員がリモートワークをするようにしました。

 社長である私が率先して出社しないようにしました。全員が毎日、物理出社して通うことをやめたのです。仕事中の「論理出社」は必須、「物理出社」は選択可能となりました。

ステップ(8)物理オフィスを撤廃する

 バーチャルオフィスへの論理出社がメインになると、物理オフィスの価値は相対的に下がってしまい、使う人が減ります。私たちの場合、オフィスがちょうど契約更新のタイミングでもあったので、移転するのではなく撤廃することにしました。住所の登記だけを渋谷区のままに残して、いわゆるオフィスらしいオフィスはなくなりました。そうして、バーチャルオフィスこそが私たちにとってのオフィスになったのです。それを機に、業務改善の一環として、電話の受け取りサービスを使ったり、郵便物は受け取ったらスキャンしたり、バーチャルオフィス内で受け取れるように仕組み化しました。

 ただし、東京近辺に住んでいる人たちの住環境を配慮して、自由が丘に事務所利用できる大きめのマンションを借りています。そこは「ワークプレイス」と呼び、社員ならだれでも使いたいときに使ってもいい場所としています。そうした場所は、全国に3カ所あります。

 チームでのコミュニケーションがバーチャルオフィスで完結できるようになったら、次は個人の働く環境の改善というわけです。必ずしも「オフィスを撤廃するべきだ」という話ではなく、人それぞれに合わせて快適な仕事環境を用意すればいいのです。例えば、家で働くのが好きなら家で働きやすい椅子や机を用意するし、前述のように家とは別に仕事部屋が欲しいなら用意します。それらすべて、私たちの会社では経費で使えるようにしています。すなわち、決して経費削減のためにリモートワークやオフィスの撤廃をしたわけではないのです。

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