消費者がリサイクルをしない一番の理由は、分別をするのが面倒だからだ。リサイクルゴミを回収するための細かなルールがあって、手間がかかるのなら、何も考えずにゴミ箱に捨てたほうが楽だと思ってしまう。
その点、「ループ」の場合は、使い終わった容器を洗う必要もなく、顧客が都合のいいときに返却するだけでいい。分別して、決められた曜日にゴミに出す必要もない。リサイクルするより、シンプルなプロセスが売りとなる。
また、容器に対してのディポジット(保証金)は必要になると見られているが、商品の販売価格は従来品とほとんど変わらないため、値段的にも比較的受け入れられる可能性は高いだろう。
世界中で、使い捨てプラスチック製品を制限する動きが活発になっているのには、環境問題だけではなく、経済的な理由もある。将来的に自然界に捨てられる、使い捨てのプラスチックゴミを回収する費用は、現段階で未然に防ぐよりも高額になるという。そうなれば企業や消費者への経済的な負担も増える可能性がある。
企業もそのことを重視すれば、使い捨て問題に積極的にならざるを得ないだろう。プラスチック消費を排除する「ループ」は、使い捨て文化を見直す新しいトレンドとなりそうだ。
藤井薫(ふじい・かおる)
大学を卒業後、広告代理店や出版社を経てライターに。
『POPEYE』『an・an』(マガジンハウス)や『GLAMOROUS(グラマラス)』(講談社)などで、ファッション、ビューティ、ビジネスなど幅広い記事をカバー。日本と海外を頻繁に行き来して、海外トレンドを中心に情報発信している。
最大11時間飲み放題の「バー」が、じわじわ増えている秘密
CDも苦戦しているのに、なぜ中目黒のカセットテープ店は好調なのか
「現金お断りの店」は、その後どうなったのか? ロイヤルHDの実験
衰退している熱海になぜ観光客が増えているのか
倒産寸前の町工場がタオルで大逆転! ヒットの秘密は「糸」と「伝え方」
負債総額439億円、破綻した英会話教室「NOVA」はなぜ再起できたのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング