伝統は守るな、生かせ! 現代版「楽市楽座」を生んだ常識破りの挑戦“売りたい人”と“売れる人”をつなぐ(4/5 ページ)

» 2019年02月25日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

渋谷ヒカリエがもたらした光

 二本栁さんは人と会うことをやめなかった。たくさんの人に粘り強く何度もプラットフォームの必要性を話していく。そうするうちに「必要だ」と言ってくれる人も少しずつ増えてきた。

 そして、模索する中でプラットフォームのイメージも形作られていった。なかでも、その方向性を決定付けるきっかけになったのが、東京急行電鉄が運営する渋谷ヒカリエだ。

 ヒカリエの8階は「クリエイティブスペース」というコンセプトのフロアになっている。イベントスペースやアートギャラリーを備え、47都道府県の魅力を発信するコンセプトの飲食店などが存在感を放つ。二本栁さんの構想は、この場から発信するテーマとしてぴったりだった。東急電鉄はフロアのコンセプトに合う提案を快く受け入れ、イベントスペースを貸してくれることになった。

photo 東急電鉄はイベントに協力してくれている。車内広告も実施(写真は2018年)

 そして16年1月、ヒカリエ8階で初のJAPAN BRAND FESTIVALを開催。賛同してくれた約40人の有識者の講演のほか、各地域の技術や商品の展示を行った。

 手探りで始めた1年目の終了後は、SNSに「意味なかった」「よく分からない」という書き込みも見つけ、「ちょっとへこんだ」。だが、出展者や参加者の反応を見ながら、少しずつやり方を変えるきっかけにもなった。

 例えば、「講演と展示物に関連性がない」という声があったことから、3年目からはプレゼンをメインにしたイベントにした。有識者ではなく、プロジェクトに関わる人や発信したい人がプレゼンし、それと合わせて商品などの展示を行う。展示のみの参加は不可にした。

photophoto 2018年のイベントで展示された商品の例

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