突然だが、記者は岐阜県出身だ。岐阜には美しい河川などの自然があるし、陶磁器や刃物、家具、和紙など、さまざまな生活シーンを支えるものの一大産地でもある。
でも、全国に目を向けると、そんなことに関心がない人も多いだろうし、他の地域にも名産はたくさんある。自分自身も、他の地域について知らないことの方が多い。知るきっかけがなければ、多くの人にとって“隠れた”魅力のまま衰退してしまうかもしれない。
だが、そんな隠れた魅力を持つ地域と、他の地域、あるいはそれを発信する手段を持った人が手を組めばどうなるか。今よりも商品が売れるかもしれない。もしかしたら、全く新しい価値が生まれるかもしれない。
そんな発想で、各地域が誇る“ジャパンブランド”を連携させる場を思い描き、実際につくったのが、ロフトワーク(東京都渋谷区)の二本栁友彦(にほんやなぎ・ともひこ)さんだ。その“場”とは、東京・渋谷の渋谷ヒカリエで毎年開催する「JAPAN BRAND FESTIVAL」。2016年に初開催し、19年3月で4回目を迎える。今では3日間で2000人以上を集めるイベントになった。
「現代版の楽市楽座」と銘打つJAPAN BRAND FESTIVALとは何なのか。どんな成果があるのか。「人生で一番大変だった」という二本栁さんの挑戦について聞いた。
「国産シルクを復活させたい!」「東京の地場産業・江戸小紋をムスリム市場に売る!」「伝統的な工芸品を新しくしよう!」
18年3月に開催された3回目の「JAPAN BRAND FESTIVAL」では、地域の取り組みを発信したい人たちがプレゼンテーションで力強く語り、それらの取り組みに興味を持つ人や賛同する人、自分の事業との関わりを探す人が熱心に聞いていた。展示品を手に取る人も絶えない。
このイベントは単なる勉強会や展示会ではない。発信する人たちが目指すのは、一つの地域や事業者だけでビジネスを発展させることではなく、「同じ志の人との“ネットワーク”を活用する」こと。そのためには、地域の壁、組織の壁を取り払って可能性を探ることが必要となる。
そういった人たちが集まる場だから、現代版の「楽市楽座」なのだ。楽市楽座は、誰でも自由に商売をするための開かれた“場”。その考え方になぞらえている。
実際、このイベントをきっかけに、新たな事業展開やコラボレーションが続々と生まれている。
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