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» 2019年02月26日 08時00分 公開

ダイバーシティって本当?:「平成女子」の憂鬱 職場に取り憑く“昭和の亡霊”の正体とは? (2/5)

[服部良祐,ITmedia]

「何かを失わないと居場所はないのか」

 さらには、会社に残るごく少数の女性の先輩たちが、明らかに同世代の男性よりずばぬけて仕事ができる人ばかりなのにも驚いた。いわゆるステレオタイプの「バリキャリ」、ちょっと男まさりにも見えるタイプだ。「男性よりずっと優秀でなくては女性は生きていけないのか」と痛感した上に、彼女たちの苦労を知るにつれ「こういう先輩のようになりたい」とどうしても思えない自分がいた。

 ある時、女性上司の1人が結婚することになった。相手の男性は他業界のクリエイター職。職場の男性社員たちがその女性のいないところで「結婚詐欺だろ」と影口をたたいているのを聞いた。「こんなに彼女は優秀で一生懸命働いているのに、結婚したことがなぜ純粋に祝福されないのか」と激しい違和感を抱いた。

photo 就職氷河期の2003年ごろのオフィスファッションの例。コンサバ・フェミニンなスタイル(東京・原宿)

 「自分には女性活躍の柱として頑張る気持ちとか、1ミリもあるわけない。健康や生活のバランスも保って働けると思っていたのに、私たちは何かを失わないと職場に居場所はないのか」(石井さん)。

 ある時、職場でのストレスから体調を崩した石井さん。ふと中小企業に勤める既婚者の友人の話を聞いて考え方が少し変わった。夫の地方転勤についていくため自分は会社を辞めなくてはと考えていたら、会社側から「地方でリモートワークして働き続けては」と働きかけられたという。「むしろ大企業でない方が、バランス良い働き方ができるのかもしれない」(石井さん)。

 「このまま自分が今の会社で敷かれたレールに乗ったところで、鎧を着て働き続けなくてはいけない」と感じた石井さん。激務もあって職場一辺倒になっていた考えは揺らぎ、今は転職や大学院への進学も模索している。

3.11時には机の下に隠れ会社説明会を予約

 女性であることを直接的に誹謗する言動があまりなくとも、男社会である職場に疑問を抱く「平成女子」は少なくない。山田恵子さん(29、仮名)も平成元年生まれで、新卒時は地元の地銀に就職した。彼女たちは就活時、ちょうど東日本大震災が発生した世代に当たる。山田さんも地震のたびに机の下に避難しつつ、携帯電話を操作して会社説明会を予約しようと焦っていた。

 入行した銀行では総合職だったが、職場では男性社員は法人営業、女性は預金業務と担当が明確に分かれていた。「女性でいてマイナスだとは感じていなかった」と振り返る一方で、男性行員がほとんど独占していた営業のスキルを自分も身に付けられたら、と思ったこともあった。

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