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健康診断と人間ドック、どう違うの?意外と知らない(1/3 ページ)

» 2019年02月26日 12時22分 公開
[片山ゆきニッセイ基礎研究所]
ニッセイ基礎研究所

 春が近づき、4月から新社会人としてスタートする方々もいらっしゃるでしょう。仕事をしていく上では、まず、健康管理をどうするかが重要となるかもしれません。その手段の1つである、健康診断や人間ドックについてざっくりと見てみましょう。

健康診断と人間ドックの違いは? 健康診断と人間ドックの違いは?

会社員になったら、健康診断を受ける義務があります。

 健康診断は、国が会社に対して実施を義務付けています。労働安全衛生法に基いて、会社は従業員に対して1年に1回、定期的に健康診断を受けさせなければいけないというものです。

 一方、従業員も健康診断を受ける義務があることになります。義務を課している以上、その費用は会社が負担することになります。従業員の場合、受診しなくても罰則の対象にはなりませんが、万が一過労などで病気になっても労災認定が受けられない恐れもあります。また、会社は労働基準監督署から指導を受けたり、罰金が科せられる可能性があります。

 では、会社に義務付けられた健康診断にはどのようなものがあるのでしょうか。それは、大きく分けて「一般健康診断」と「特殊健康診断」があります(※1)。

 一般健康診断には、会社への入社時に必要な「雇入時の健康診断」と1年に1回従業員に対して実施する「定期健康診断」など5種類あります(図表1)。特殊健康診断は、薬剤など有害な業務に常時従事する場合に適用されます(※2)。

 一般的に、健康診断と聞いてイメージするのは、「定期健康診断」ではないでしょうか。「雇用時の健康診断」を受け(入社前3カ月以内に健康診断を受けていた場合には、その受診項目を省略することができます)、それ以降、1年に1回「定期健康診断」を受診することになります。

 なお、国で定められた定期健康診断の項目は図表1の通りです。

図表1 一般健康診断の種類と、定期健康診断の内容 図表1 一般健康診断の種類と、定期健康診断の内容

 定期健康診断の実施方法としては、会社で集団受診するケースや、会社が指定した病院で受診するケース、さらには人間ドックなど従業員が自身で医療機関を選択し、その結果を会社に提出するケースも該当します。

 ただし、人間ドックの結果を会社に提出する場合は、定期健康診断に含まれる項目を受診しておく必要があります。人間ドックの場合、受診した場合は自己負担が発生しますが、定期健康診断に相当する費用が補助として支給されるケースもあります。

 また、年齢(例えば40歳以上など)、所属している健康保険の運営主体によって異なりますが、一般健康診断に加えて、がん検診など指定されたオプション検診を活用することができます。2008年からは、40〜74歳を対象とした特定健康診査・特定保健指導が追加されました(※3)。生活習慣病、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)に着目した制度で、その結果から、生活習慣の改善をサポートすることを目的としています。

※1 健康診断としては、それ以外に、じん肺健診、歯科医師による健診があります。

※2 特殊健康診断は、屋内作業場などにおける有機溶剤業務に常時従事する労働者、鉛業務に常時従事する労働者など8種のケースが対象となっています。

※3 市区町村の自治体も住民を対象としたがん検診(任意型検診)を実施しています。基本的には5つのがん検診が実施されており、費用は無料または少額となっています。

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