近年、日本の人間ドックや検診は、医療ツーリズムとして、海外からも注目をされています。人気の理由は日本の医療機関における医療サービスの質やレベルの高さ、がんなどの生存率の高さ、寿命の長さなどさまざま考えられます。
世界においては、健康診断または人間ドックを定期的に受診する習慣は根付いておらず、公的医療保険における自己負担のあり方も日本とは大きく異なります。日本では、健康診断や人間ドックで病気を早期に発見し、治療が必要な場合は公的医療保険制度で相対的に少ない自己負担で、高度な治療を受けることができるシステムになっています(※4)。
厚生労働省によると、健診や人間ドックを受けなかった理由について、「心配なときはいつでも医療機関を受診できるから」(33.5%)、「時間がとれなかったから」(22.8%)、「めんどうだから」(20.2%)が上位に挙がっています(図表3)。
確かに心配になったときに安心して受診できる医療機関があるのは、とても重要なことだと思います。しかし、早期に発見し、早期に治療する環境が整っているのであれば、それを生かすことで、自身にかかる身体的・経済的負荷、さらには国の医療財政にかかる負荷も小さくすみます。過度に受診する必要はないと思いますが、年齢や症状など自分自身のその時々の必要性に応じて、健康診断、検診、人間ドックを有効的に活用していくのがよいではないでしょうか。
※4 総医療費に占める患者自己負担の割合(世界191カ国)のうち、日本は14.1%で149位であった(世界平均は31.3%)。OECD諸国でみると、例えば韓国36.1%、スウェーデン16.1%、ドイツ12.1%、アメリカが11.1%などとなっている(国際統計格付センター「世界・総医療費に占める患者自己負担の割合ランキング」)。
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