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元国税局職員が明かす「確定申告」の注意点今ならまだ間に合う(1/5 ページ)

» 2019年02月28日 07時30分 公開
[小林義崇ITmedia]

 今年もまた確定申告のシーズンが来た。とくにフリーランスにとっては欠かせない手続きだが、面倒であることは否めない。しかし、きちんと手続きをしないとさまざまな問題が起きてしまう。申告内容を間違えるとどうなるのか、期限に遅れた場合のペナルティーはあるのか、間違いを防ぐための対策は何か――。こうした点について、元東京国税局職員で、現在はフリーランスライターの筆者が解説する。

phot 確定申告を進める上でのポイントは?(写真提供:ゲッティイメージズ)

確定申告が期限に間に合わなかった時のペナルティー

 確定申告には期限がある。平成30年分の所得税・復興特別所得税(以下「所得税など」)については、平成31年3月15日までに確定申告書を提出し、納税も済ませなくてはならない。

 手続きが3月15日に間に合わない場合、どうなるのだろうか。これは「納税額がある場合」と「納税額がない場合」という2つのパターンによって異なり、前者の場合は追徴税によるペナルティーを課せられる可能性がある。

 期限遅れに対する追徴税には、「無申告加算税」と「延滞税」という2種類のものが存在する。無申告加算税は、申告漏れの税額に対して5〜20%、延滞税は期限までに納付が間に合わなかった金額や遅れた日数に応じて増えていくものだ。

 つまり、確定申告書の提出が期限内だったとしても、納税を忘れてしまった場合には延滞税がかかるため、申告と納税のいずれも確実に期限内に済ませておかなくてはならない。

 一方、所得税などの計算をした結果、「納税額がない場合」には、期限から遅れたとしてもペナルティーはない。ただ、早く還付金を受け取りたければ、もちろん早く確定申告書を提出しなくてはならない。また、「還付申告は申告年の翌年1月1日から5年間申告することができる」というルールがあるため、少なくともこの期間内には確定申告をする必要がある。

 注意しておきたいのは、税額計算において有利な制度(特例)の中には、期限内申告でなければ利用できないものが存在する点だ。例えば個人事業主で青色申告の承認を受けている人は、期限内申告であれば、事業所得から「青色申告特別控除」を最大65万円差し引くことができるが、期限から遅れてしまうと控除額が10万円に減ってしまう。

 また、2年連続で期限内に申告できなかった場合、青色申告の承認自体が取り消されてしまう。こうなると、青色申告特別控除だけでなく、青色申告により得られるさまざまな節税メリットが全て受けられなくなってしまうため、絶対に避けたいところだ。

phot 所得税などは3月15日までに確定申告書を提出し、納税も済ませなくてはならない(国税庁のWebサイトより)
phot 青色申告特別控除(国税庁のWebサイトより)
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